大藤山は加古川市の北西部に位置している。その南に位置する宮山から周囲の山を眺めると、どうしても西の播磨富士と呼ばれる高御位山の方に目を奪われがちになるが、北の大藤山も悪くない。中央ピークから両翼を長々と引いたその姿は、素直な美しさとでも言う気品があって好きである。南麓には大藤山を山号にしている長楽寺があり、奈良時代からの古刹とか。名前もきれいなこの大藤山を初めて訪れたのは、紅葉の季節の1996年11月のこと。長楽寺の前にある池のそばに駐車したが、登山道を知らないため、長楽寺のそばの竹林に見えた小径を辿ることにした。しかしただ単に竹林の道だったようで、程なく消えてしまった。後は仕方なく山頂目指して細竹のヤブに突っ込んだ。ヤブはイバラも混じっており、けっこう難儀させられた。枝を切り払ったりして徐々に登って行くと、稜線近くになって登山道に出会った。後はその道を歩いてすんなりと山頂に着いた。登山道は常緑樹に囲まれて展望は無し。途中、わずかに木々の間から南が覗ける地点があったのみ。山頂も展望は無し。早々に下山することにした。下山は出会った登山道を下って行った。道は細々ながらも麓まで続いていた。下山後に長楽寺の前に立ってみると、モミジが紅葉の盛りで見事に色付いていた。
(2005/5記)(2012/3改訂)(2020/6写真改訂) |