黒鉄山は赤穂市街の西にあって、山陽自動車道の間近にあるため、自動車道からよく見える山である。西に向かっているときにこの黒鉄山が見えると、いよいよ兵庫県の端まで来たといつも実感させられている。この黒鉄山に初めて登ったのは、1995年3月初旬のこと。登山道がどこにあるのかと思う以前に登山道の有無も知らなかったため、「備前三石」の地図を見て決めたのが、北の笹谷からの尾根だった。その尾根は直接山頂にはつながっておらず、山頂の一つ東の小ピーク(380m)につながっていたが、このルートが一番無難に山頂に行けるのではと考えた。
黒鉄山の東麓にある湯ノ内池のそばに駐車する。池沿いを走る県道を北へと歩き、笹谷への道に入った。沢沿いの小径は荒れてはいたものの細々と続いていた。そして予定の南に真っ直ぐ延びる尾根に取り付いた。尾根道を期待していたのだが、所々でそま道程度の踏み跡が有るのみで、ほとんどヤブコギ状態で登らなければならなかった。イバラも手厳しかったが、手強いシダヤブの群落をそれも3カ所ばかり乗り越えるのはけっこうなアルバイトだった。そしてようやく山上に出て西へと黒鉄山を目指すと、程なく南からの登山道に出会った。もう山頂まで楽なものである。その小径の周囲は濃い常緑樹の樹林が取り囲んでいた。やがてマイクロウェーブ反射板が現れると、そこより2分ほどで三角点に着いた。そこは灌木に囲まれて少しヤブっぽかったが、間近に展望の良い場所が有って、赤穂港の方向を眺めることが出来た。瀬戸内海も見えていたが、この日はモヤがかっており、小豆島がうっすらと見える程度だった。下山は山上で出会った登山道を歩くことにした。登山道は南へと続いていた。やや急坂ながらはっきりとした道が続いていたが、小石が多く歩き易いとは言えなかった。その登山道で下り着いた位置は湯ノ内集落にほど近い所だった。
(2003/3記)(2012/7改訂)(2019/11写真改訂) |