円山川沿いを走って城崎町へと近づくと来日岳が見えてくるが、周囲の山が400mに満たない中にあってこの来日岳はずいぶん大きな山に見えて、標高以上の存在感を持って眺められる。その来日岳に興味を持って地図を眺めると、山頂まで車道の通じている山だと分かり少し味気なさを持った。ただ西麓の円山川側から破線路が書かれており、登山道のある山だとも分かってその道で登りたくなりった。向かったのは1996年1月の正月明けの一日で、快晴の日だった。但し日本海に近づくに連れ霧が立ち込めて、来日集落に着く頃には全くの霧の中になってしまった。地図を頼りに破線路に近づくとすんなりと登山口が見つかり、その近くに駐車とした。霧の中を登山開始とした。登山道ははっきりしており、無理なく登って行けた。その登路で4名の登山者とすれ違ったが、どうやら早朝に登山していたようだった。標高で300m辺りまではややきつい上り坂だったが、道が緩やかになり出した頃に周囲の霧は漸く薄れ出して、上空には澄んだ青空が現れて来た。そして霧が薄れ出したのと入れ替わるように雪が登山道に現れ始めた。道は程なく緩やかな下り坂となり暫く続くと、再び上り坂となった。後は山頂までひたすら上り坂のまま続いた。上りとなる辺りで徐々に積雪が増えて来た。周囲の木々も中腹までは杉の植林が多かったが、後は自然林となっており、雪と相まって風情のある風景になっていた。山頂に着くと積雪は30センチほどになっており、辺りはすっかり雪に覆われていた。その山頂には通信設備があって視界を遮っていたが、近くに展望台があり、そこからの展望は悪くなかった。ただ中腹までの霧はまだ残っており、それが雲海となって下界の多くは隠されていた。その中から頭を出しているのは、東向かいの久美浜の山々で、東の方向遠くに法沢山や床尾山も眺められた。また浜手の方の霧は晴れており、竹野の浜や津居山湾が見えていた。霧は昼どきに近づくにつれ徐々に薄れて、大師山の右手には城崎の温泉街も現れて来た。暖かい陽射しの中で雲海が徐々に薄れる様子を眺めながら昼どきをのんびりと過ごした。下山は往路と同じコースを辿って戻った。
(2002/5記)(2011/8改訂)(2020/12改訂2) |