国道312号線を北上して和田山町に近づくと、真正面に台形の姿をした特徴有る山が見える。それが室尾山で、初めて訪れたのは99年7月11日のこと。姫路の空は晴れていたのに、神崎町辺りより雲が増え出し、しかも雲は低く山頂部にガスのかかっている山も多く見られた。和田山町に入ると空は全くの曇り空で、室尾山はと言えばやはり山頂にガスがかかっていた。和田山町室尾より林道を進むと、林道終点辺りは室尾森林自然公園になっており、そこに有る自然体験学習館の前に駐車して歩き始めた。この自然公園側から登山道が有るとのことだったが、標識類は無く、まずは林道を歩くことにした。林道の先からは二手に分かれて山道が始まったが、室尾山方向に向かうと見られる右手の道を進むことにした。道は岡田集落からの道と合流すると、登ることは無く山腹を巻いて行く。やがて竹林に入ってやっと登り坂となった。すぐに送電塔(No.67)の建つ尾根に出たが、道はそこで終わってしまった。どうやらこの道は巡視路だったようである。
後は仕方なく植林地や潅木地の薄暗い尾根を適当に登って行くしかない。下草が少ないので、木に掴まりながらゆっ くりと登れば問題は無かった。本来の登山道にやがて合流するだろうと登って行くが、なかなか合流せず、尾根は緩くなったりきつくなったりを繰り返す。山頂近くになってガスの中に入り出したとき、ようやく登山道に合流した。
この登山道は緑の鮮やかな広葉樹に囲まれており、古びた落ち着きがあって悪くない雰囲気である。程なく山頂に着く。山頂は小ザサが広がった草地で、静けさが漂う良い雰囲気である。周囲を囲む雑木も少なく、ガスさえ無ければ素晴らしい展望があると思われて残念である。この山頂は東西に長く延びているので、少し東に歩いてみることにした。三角点を離れると雑木に囲まれたクマザサ帯で、展望は良くなかった。そこで三角点そばに戻って暫しの休憩とした。
始めはガスが濃く霧雨状であったが、次第に乾いたガスに替わった。食事も終わって暫くすると、一時的にガスが薄れて、北向かいの山並みやその麓の糸井川に沿って点在する集落が現れた。しかし期待していた床尾山の方向は依然として見えない。2時間半ばかり山上で過ごしたが、それ以上の展望は期待出来ないので、この日は諦めて下山とした。下山は登山道を素直に下って行く。程良い歩きやすさで、全く気楽な下りである。中間点辺りで送電塔(No.68)の建つ絶好の展望地に出た。ガスがかかって見通しは悪いものの、それでも竹田城や大倉部山、朝来山(山頂部はガス)が見えていた。そこから先も程良い山道が続いて行く。やがて沢に下り着き、後は沢沿いに下ることになるが、方向も変わらずどんどん北西の麓へと向かうので、心配になって地図で確認した。この道はてっきり自然公園に通じると思っていたが、どうやら駐車地点とは全く違う糸井川沿いの集落に向かって行くようである。そのまま麓に出て山裾を大きく回って戻るのも業腹なので、駐車地点の方角である南へ直線的に戻ることにした。この山歩きが、急斜面をトラバースしたり倒木帯を通過したりと、それまでの労力の数倍は必要と思われるアルバイトで、結局小さな尾根を四つ越すことになり、最後には霧雨まで降ってきて、散々な目にあって駐車地点に辿り着いた。
(2005/10記)(2012/6改訂)(2020/7改訂2) |