笠杉山はすぐ近くに生野高原や千町ヶ峰があり、そちらのほうが標高があるだけに少し影に隠れがちになるが、姿としては鋭角的な鋭さがあって、遠望したときは生野高原よりもこちらの方になぜか目が移ってしまう。そこで数少ない兵庫の千メートル峰でもあり、一度は登ってみようと訪れたのは1993年の秋のことだった。登山コースは一般的な上千町からのコースで登った。コースには目印もあり、それが無くとも分かり易い登山道が続いており、ごく楽に山頂に着いた。ただ山頂は雑木に囲まれて、ほとんど展望は得られなかった。それでも木立を通してうっすらと冠雪した氷ノ山を望むことが出来た。下山は少し変化を求めて、西への尾根を辿った。尾根の踏み跡程度の道を辿ってのことだったが、鞍部へと下りたところで最短コースで戻りたくなった。そこで尾根を離れて適当に南の沢へ入ることにした。出来れば小径に出会いたいと思っていたが、沢には小径は見えず、ただひたすら沢沿いの歩き易い所を選んで下ることになった。その沢は草木川源流だったが、紅葉が終わった後とあって落ち葉が沢の周囲を埋めており、見事な美しさだった。沢の傾斜が緩くなった辺りで、往路の登山道と出会った。
(2002/1記)(2007/10改訂)(2020/7改訂2) |