おごしき山は後山の支尾根にある一ピークだが、「平成の大馬鹿門」が建ったことにより山名を知った。そこで1998年4月の初めに、そのおごしき山を登ってみることにした。千種町に入って、後山登山道につながる板馬見渓谷沿いの林道を車で進んで行き、板馬見渓谷からおごしき山の方向に向かう沢が分岐した辺りで駐車とした。大馬鹿門を建てるのと合わせて前年に登山道が出来ていたのだが、そのコースは下山時に歩くことにして、登りは東の尾根を真っ直ぐ登ることにした。そこで尾根を目指して主林道を離れて、支林道を進んで行く。支林道は長くも歩かず終わり、後は沢沿いの山道に変わった。その道も怪しくなり、所々沢の中を登って行く。沢も奥詰まった頃、尾根に向かう山道が現れた。植林用の作業道のようだった。けっこう急坂だったが、登って行くと尾根に出た。その尾根は赤松がほとんどで、その佇まいからマッタケ山ではと思われた。947mピークに着いて、おごしき山に建つモニュメント(平成の大馬鹿門)が見えて来た。そこからの登りは進むほどに傾斜がきつくなって、一部に露岩も見られた。おごしき山が近づくにつれ、展望はどんどん良くなって来た。三室山から植松山、そして黒尾山までが遮るものも無く見渡すことの出来る場所もあった。そしておごしき山に着く。おごしき山は大馬鹿門の設置のためか一帯が伐採されており、そこも展望地になっていた。千種町の北を限る山並みだけで無く、その奥には東山やまだ白い氷ノ山が見えていた。そこから後山へは登山道があるのか分からなかったので、進むのに困難なようなら、おごしき山だけで終わる予定だったが、その先の尾根にも新しく道が開かれており、一安心だった。その道が無ければネマガリダケのジャングルだったと思われるが、難なく進んで行けた。ただ尾根道には雪が残っており、登るほどに増えて来た。多いところでは20cm程の雪が登山道を隠していた。それで歩くのに困難かと言えばそうでも無く、よく締まっていたので、むしろ良い感じで登って行けた。おごしき山を離れてから30分ほどで後山山頂に着いた。山頂は日当たりが良いので、雪は残っていなかった。見慣れた山頂風景で、西に駒ノ尾山、その彼方には那岐山
がうっすらと見えていた。山頂では祠の前の日溜まりで、暫しのくつろぎをとった。その間に6人程の登山者が各コースから登って来た。下りはおごしき山までは同じルートを戻り、そこからは後山登山道に向かう新しい道を下った。山腹をトラバースするそのコースは、適度に整備されていると思っていたが、途中はケモノ道程度の所もあって、意外と辿りにくかった。あまり利用されないようだと廃道になってしまいそうに思えた。後山登山道には標高950m辺りで出会った。沢沿いのこの登山道は古くからの道とあって落ち着きがあり、良い雰囲気の中を歩けた。不動ノ滝のそばを通って、程なく林道に出た。
(2001/11記)(2011/3改訂)(2020/6写真改訂) |