竹呂山は三室山から見ると南の方向、植松山へと続く尾根の一ピークとなる。その姿は三室山の近くにあって目立たないが、山頂部に目を凝らすとそこのみ植林に覆われて黒々としており、ちょうど小さな帽子をかぶったように見えて愛嬌のある姿をしている。その竹呂山を1994年9月半ばの晴れた日に訪れた。千種町の河内川そばより竹呂山へと延びる林道があるが、その林道の入口付近に駐車して歩き始めた。林道を終点まで歩くと、その先は沢沿いに小径が続いていた。その小径を辿って行くと踏み跡程度となり、それも主尾根に近づくと判然としなくなった。波賀町との町境尾根に達すると、後は南へと尾根を歩いて行った。クマザサが尾根を覆い出して、山頂まで少々ヤブコギで進むことになった。ただ難儀すると言うほどでは無かったが。尾根の木々は杉やヒノキの植林がほとんどだったが、僅かに自然林も残っており、その中にブナも見かけた。山頂に着くまでそれらの木々に視界を妨げられて、展望は得られなかった。そして着いた山頂は植林に覆われていた。当然展望は無かった。こんなものかと少しがっかりする思いだったが、西の方が明るいので少し西側の斜面を下ると、そこは伐採地になっていた。そして素晴らしい展望が広がっていた。日名倉山から後山、ちくさ高原、三室山と続く尾根が一望だった。山は既に秋の気配で涼しく、少し肌寒さを感じながら展望を楽しんだ。下山は往路を辿って戻った。
(2001/12記)(2005/6改訂)(2021/11写真改訂) |