日名倉山からでも後山からでも東を見ると、植松山の北隣に三つのピークを並べた堂々とした山が見える。しかし地図では山名はもとより三角点も無く、中央のピークに1178mの標高点が記されているのみである。この山に登ろうと、1997年2月の大雪の後にカンカケ越からのコースを試みた。朝から雲一つ無い快晴の空が広がっていたが、千種町内は数日来の雪で道路上にも雪が見られた。千種町河内のカンカケ越に向かう林道入口に駐車して歩き始めた。その林道を歩いてカンカケ越からその南にある二つのピークを目指す予定だった。この林道コースを選んだのは、林道上の雪は少ないのではと考えてのことだったが、すぐに雪の量は多くなり、ワカンを履かないと進めなくなった。しかも新雪のためワカンを履いていても膝まで沈むようになった。雪の量も1メートルを越えていそうだった。ひたすらラッセル歩行のため、徐々に疲れ出して、カンカケ越までがけっこうな距離に感じられるようになったた。また強い陽射しも段々と応えて来た。数十メートル歩いては一息入れないと進めなくなった。最初から直登ルートを採るべきであったと途中で後悔したが後の祭りである。こうなると真っ青な青空が少々恨めしい気分だった。それに風もなく本当に暖かい日で、歩行中は暑さにまいりそうになった。また雪面の反射光がまぶしく、目が痛くなった。ただ快晴なだけに、林道の見晴らしの良い所からは、後山がその雄大さで目を和ませてくれた。最後、疲れと時間切れでカンカケ越に着くことも諦めて、カンカケ越の手前300m辺りで登山を中止した。歩き始めて3時間半ほどになっており、これではカンカケ越に着くだけで4時間はかかりそうだった。帰路は歩いて来た林道を戻ったが、所々で林道をエスケープするため、シリセードで雪面を下った。雪が柔らかすぎて少し滑り難かったが、なかなか面白いと思った。ただ新雪のためか、そのシリセードのときにかわいい雪崩が起きることがあった。
(2002/1記)(2010/7改訂)(2021/10写真改訂) |