前日は新居浜市内に泊まっており、この日は松山道を新居浜ICから乗って大野原ICで降りた。そして国道377号線を走って琴平町へと入り、金刀比羅宮の門前町に到着した。車は参道にほど近い有料駐車場(¥700)に駐車とした。参道には車は入れないようになっており、両側にはぎっしりとみやげ物店が並んでいた。そしてすぐに名物の石段が始まった。まだ9時前だというのに参道には多くの観光客が行き来していた。もう強い陽射しがあり、少し登るだけで汗ばんできた。本日の目的は大麻山と琴平山(象頭山)を歩くのが目的だったので、金刀比羅宮の建物にはあまり立ち寄らずにどんどん登って行った。ただ本宮では境内の一角から展望があったので、小休止とした。北東方向が開けており、飯野山やその周辺の小ぶりな山が眺められた。この日はモヤが強めで少し薄ぼんやりとした見え方だったが、広々とした眺めは気持ちが良かった。本宮を過ぎると一気に人が減り、林間の静かな遊歩道と言った雰囲気になった。参道も山陰となって涼しさが出てきた。ただ奥社までは距離があり、何度も石段の登りが続いた。漸く着いた奥社は小ぢんまりとしており、10人ほどの人が憩っていた。そこからも飯野山が少し望めた。その奥社の脇から大麻山への登山道が始まっていた。奥社でも小休止をとった後、大麻山登山をスタートした。それまでの参道とは違って、もう道幅は1メートルも無いごく普通の山道だった。山腹を巻くように進むので、ほとんど高度は上がらなかった。辺りは雑木と雑草が茂るのみ。暫く歩くと陽射しも再び現れて暑くなってきた。進むうちに漸く上り坂が始まり、そこを登った先で少し広くなった所に出た。標識が立っており、奥に見える小ぶりな建物が龍王社のようだった。標識に従って大麻山を目指す。大麻山への道は幅広のゆったりとした道で、緩やかな上り坂となって真っ直ぐに続いていた。その道を歩くうちに、周囲にちらほろワラビを見かけるようになった。じっくり見ると食べ頃のものもあったので、草むらに入って暫しワラビ採りを楽しんだ。一段落した後、改めて山頂を目指した。程なく広々とした平坦な所が現れた。どうやらそこまで車で来られるようで、駐車場の標識も立っていた。そこから山頂までは車道を歩くことになった。その車道は山頂に立つ電波塔の補修用道路かと思われた。車道の周囲は桜並木になっており、ソメイヨシノは終わっているものの、ボタン桜は遅咲きのためか、まだ少し花を残しているものを見かけた。本当に緩やかな坂で、その辺りの草むらにもワラビを見かけた。山頂が間近になると左手となる南側に幾つかの電波塔が並んでいるのを見るようになった。道路の最高点が山頂で、その辺りは草地が広がって長閑さがあり、ピクニックに相応しい雰囲気があった。桜の季節には大勢の人がここを訪れるのではと思われた。ただそこは展望は良いとは言えず、北東の飯野山方向が梢越しに見える程度だった。また南は木々の隙間より阿讃山脈が望めたが、山名を特定出来るほど広くは見えなかった。本来ならここで昼食をとるのだが、この日は下山後に讃岐うどんを食べる予定にしていたため、すぐに山頂を離れた。その途中、ワラビ採りをした所まで戻ってくると、欲深くまたワラビ採りをしてしまった。見落としていたものが多くあり、けっこう摘めることになった。次は尾根を辿って琴平山を目指すのだが、尾根にある桜並木は南側が広々とした草原になっていた。その草原でもワラビを多く見ることになった。そこにもワラビがあることを想定していなかったので、ちょっと意外感を持った。けっこう摘んでいたいたことでもあり、ほどほどに摘んでいく。ところが歩いて行くうちにどんどんワラビの自生地が増えて、大げさに言えば辺り一面総てワラビ畑と言った感じになってきた。何ともただ驚くのみ。そのワラビ一面の山上を歩いていて、漸く人に出会った。一組の夫婦で、やはりワラビ採りでハイキングに来ていたようだった。もうワラビ採りに飽いてきたので、後は尾根道を歩いて琴平山を目指した。ところがそのワラビの原から先は急にか細い道となり、あまり歩かれているようには見えなかった。それでも桜並木の続きなので、そのまま尾根を辿れば琴平山には必ず着けると思っていたので、かまわず歩いて行った。段々と雑木の小枝がじゃまをしだし、そして小径はピークの南側を巻くように続いた後、急傾斜の下り坂となって小径は消えてしまった。どうもか細い道となった辺りでコースを外れたのではと思えた。辺りの雑然とした雑木林の雰囲気から、琴平山を目指す気持ちは消えてしまった。そこで金刀比羅宮の参道に戻ることにした。戻るには適当に北に向かえば良いので、灌木の斜面を北へと下った。下生えは少なかったので特に苦労も無く下って行けた。暫く下ると貯水槽のそばに出て、参道が近いことを知った。後はそこから始まる小径を辿ると、すぐでも無かったが、無事に参道に合流することが出来た。そこは本宮と奥社との中間点辺りだった。後は参詣客で賑わう参道をゆっくりと戻った。もう昼を回っていたので、強い陽射しが降り注いでおり、初夏の陽気に感じた。下るほどに人は増えて、金刀比羅宮の殷賑さに驚かされた。
(2002/7記)(2013/10改訂)(2021/2写真改訂) |