赤穂市の坂越湾を囲む山々では、西の大泊側の岬と北の丘陵にはハイキングコースが付いているのだが、東の岬の様子はよく分からなかった。地図を見ると壺根集落を根本に、三つのピークが岬に並んでおり、一番南のピークに細見山と点名が付いている。その尾根からはどのような景色が見えるのだろうか、また適当な道は付いていないだろうかの興味があって、01年12月の大みそかに訪れた。
この日は快晴。相生側から藤戸トンネル、日ノ浦トンネル通って坂越湾に向かうときに小さな峠を越すが、その峠を僅かに越した所に見えた空き地に駐車した。その駐車地点辺りが細見山のある岬の付け根に当たる。登り口が見当たらないので、適当に山肌に取り付くことにした。一帯は全くの雑木林だったが、やはり瀬戸内海に面した温暖な土地であるだけに、ほとんどが常緑樹である。そのため辺りは薄暗くなっていたが、木は疎らにしか生えておらず、また下草も少ないので、けっこう気軽に登って行けた。ただ常緑樹の落ち葉が地表を覆っており、滑りそうになることがあった。登っているうちに小径に出会ったので、それを辿ると最初のピーク(127m)に着いた。ここに着いてようやく展望を得た。そこからは坂越湾一帯を眺めることが出来た。この日はまずまずの澄んだ視界で、風景がきれいに見えていた。この後も一部で草深くはなったりしたが、はっきりとした尾根道が続いていた。そして2番目のピークの手前では草丈が低くなり、好展望が広がっていた。坂越湾だけでなくその背後に広がる丘陵も一望だった。このまま岬の先端ピークである細見山まで楽に行けるのではと思い始めた頃、俄然きびしくなった。はっきりしていた小径は消え、その先は灌木のブッシュが広がっているだけである。それにイバラも絡んでいる。か細い踏み跡を辿ってみると、シダヤブに突っ込んでしまって身動きがとれなくなったので、少し戻って改めて別の道らしきものを辿ることにした。灌木を身をかがめて抜けたり、枝をかき分けながら進むので、超スローペースである。その状態を我慢しながら続けて漸くブッシュが和らぐと、そこがピークだった。だが三角点が見当たらない。地図を確認すると、今少し先が山頂と分かり、改めて歩を進めると、僅かな距離で三角点ピークの細見山に着いた。だがそこは灌木に囲まれて、展望はいたって悪い。枝越しに海が見えるだけで、木に登っても何とか坂越湾が望めるだけだった。そこで岬の先端へ少し下ってみることにした。幸い目印が付いていたので、それを辿ることにしたが、相変わらず灌木をかき分けたり、イバラを除けながでないと進めない。下って行くもののさほど展望は良くならないので、1/3ほど下ったところで引き返すことにした。ただその引き返し点の辺りで南の海が少し見えており、その海に浮かぶ君島や家島諸島を写真に収めることが出来た。休憩は展望の良かった第2ピークの手前でとることに決め、来たコースを戻ることにした。ヤブコギに慣れた分だけ煩わしい気分は減っていた。第2ピークそばの好展望地で、坂越湾を眺めながらの昼食とした。空は青く、陽射しは暖かく快い。冷たい風が少しあったが、陽射しの中では気にならず、のんびりと過ごせた。昼食後、この辺りから東の相生湾が見えるのではと、第2ピークに立ってみると、そこより少し東に下った所に展望地を得た。向かいの金ヶ崎から遠見山、天下台山、そして相生湾の風景が広がっていた。これでこの岬から見える風景を総て見たことになる。後は往路を戻って行く。道なりに下って行くと、すんなりと市境の峠に下り着いたが、そこは駐車地点とは10mと離れていなかった。
顧みるに、第2ピークから先は厳しいヤブコギだったが、対岸の岬のように適度なハイキングコースがあれば、こちらの方が風景に味わいがあるので、きっと楽しいハイキングコースになるのではと思えた。
(2002/2記)(2013/7改訂) |