1998年元旦は天気が悪かった。今にも雨が降りそうな空だったので、ごく近くの短時間で登れそうな山で新年登山をすることにした。この向山は山頂の少し西側に岩場が広がっているのが見えて気になっていた。そこで登ることにしたのだが、登山道は知らない。国道29号線を走っていると南西麓に墓地のあるのが見えるが、その墓地から登って行くことにした。車は墓地の駐車スペースに止める。尾根を見るとそこにも墓があり、山道が付いていた。その山道を登って行くが、墓地が終わると道は一気に荒れて、ほとんどヤブと変わらない状態になってきた。灌木の小枝やササ、シダが道を隠すようになった。またイバラが多くあり、ハサミで切って行かなければならなかった。枯れた松の倒木があったり、更に道が分からなくなることもあって、けっこう難儀させられた。山稜部に出るとやや疎らな雑木林となって、ようやく歩き易くなった。この山で良かったのはやはり露岩部だった。露岩部は所々あり、そこからの展望は素晴らしかった。山頂の露岩こそ雑木に囲まれて枝越しでしか眺められなかったが、一つ手前の210mピークは広い範囲で岩が露出しており、東の峰相山から西の的場山まで、遮るものもなく見渡せられた。ただ生憎の天気で視界が今一つだったのは残念だった。それでもまずは満足出来る眺めと言えた。その露岩での休憩中に雨が降り出した。下山は登ってきたルートで引き返したが、その下山中に雨足が強くなってきた。適当に下ったためか、道を外れてヤブに突っ込むこともあった。そして下山を終えて墓地に戻ってきたとき、枝切り用のハサミを露岩部に忘れてきたことに気が付いたが、もう戻る気力は無かった。
(2001/11記)(2011/5改訂)(2020/5写真改訂) |