生駒山は上郡町の市街地を一望出来る山。訪れたのは1997年5月のことだった。登山道に関する知識は持っていなかったが、生駒山の南尾根には遠くからでも分かる登山道が見えており、それを目指した。その登山口に着くと、そばにあった墓地の空き地に駐車した。地図では生駒山と記されていたが、登山口の案内板では駒山となっていた。また山頂は駒山城跡であることも案内板に書かれていた。登山道は至って歩き易く、気楽に山頂に向かえた。山頂手前が少し急傾斜だったが、気にもならなかった。所々で岩肌が露出していたが、足がかりは良く、むしろ歩き易いと言えた。途中はろくに樹が生えていなかったが、その分、展望は良かった。着いた山頂は、本丸側も二の丸側も草つきの平坦地で、美しい喬木が囲んでいた。そこを涼しい風が通り、絶好の木陰になっていた。休憩は二の丸側ですることにした。足下に上郡の町並みが広がり、格好の展望台になっていた。風通しの良い木陰のもとで、暫し昼寝も楽しんだ。ときに風が強くなり、肌寒さを感じるほどだった。なお本丸を少し北に進むと、北の展望が開けた場所があり、蛇行した千種川が美しい景観を見せていた。また千種川を挟んで愛宕山と白旗山が対峙している姿が眺められた。風景の美しさだけでなく千種川が自然の要害を成しており、なるほど山城があっただけに地の利を得ているとの感心もさせられた。この日はまさに薫風の五月晴れと言える絶好日で、山上を十分に楽しめた。
(2001/11記)(2006/3改訂)(2022/3写真改訂) |