室津港の北西にあって、嫦娥山とは屋津坂を挟んで向かい合う雄鷹台山を、2005年7月の暑い盛りに訪れた。午前をこの雄鷹台山から野瀬奥山への登山で楽しみ、午後は近くの浜で海水浴でもと考えていた。車は屋津坂を室津側から入って、すぐに目に付いた車2台分ほどの空き地に駐車とした。朝の涼しいうちに登ろうと来たのだが、9時の時点でもう気温は28℃まで上がっていた。ただ屋津坂の道は木々に囲まれており、また風も通って涼しさがあった。鳩ヶ峰のそばの峠まで来ると、雄鷹台山への登山口標識を見た。そこからの登りが暑かった。南面のややきつい坂を登って行くので、まともに陽射しを受けることになった。風も無く一気に体感温度が上がる思いで、またたく間にバテてきた。たまらず最初の展望台となる雌雄大岩で一休みとした。この日はモヤの強い空で、そこから見える瀬戸の風景は薄ぼやけていた。海も空も白っぽく、その境は判然としていなかった。この一休みで少しは疲れは消えたかと思ったが、少し歩くと、またバテ状態に戻ってしまい、何とも体が重かった。その状態でも休まず登り続けて何とか山頂には着くと、思わず三角点そばに倒れ込んでしまった。暫し、死人状態である。気温は高くとも木陰の中での登山なら問題は無かっただろうが、強い陽射しを受けての低山登山は本当に厳しかったと言えた。もう野瀬奥山へと向かう気力も体力も残っていなかった。30分ほど寝ていると、少しは体温が正常に戻ったのか、気分も漸く良くなってきた。後は登って来た道をただ引き返すだけである。下山は楽なもので、一気に麓へと戻った。それにしても何ともだらしのない雄鷹台山登山になってしまった。
(2006/2記)(2010/3改訂)(2021/12写真改訂) |