たつの市の旧城下は背後に里山をかかえており、そこにはハイキングコースがあって、四季を問わず低山ハイクを楽しめるスポットになっている。鶏籠山に始まって的場山、城山と北に尾根は長々と続いており、その尾根は揖保川からは急峻な姿を見せるため揖龍アルプスとも呼ばれている。その揖保川からの眺めで、城山の北に独立峰の佇まいで富士型のすらりとした姿を見せるのが祇園嶽だった。
この祇園嶽に1996年9月中旬に、新宮町馬立からの登山ルートで訪れた。車は登山口そばの墓地内に駐車とした。地形図では亀山の稜線まで破線路が続いていたが、祇園嶽への道は示されていなかった。しかし稜線に出てみると、祇園嶽の方向に細々と登山道が続いていた。道は草が繁茂していたり潅木の小枝が煩わしかったり少々と荒れ気味だったが、所々に道しるべも立てられており(主に城跡に関するものだったが)、分かり難いことはなかった。ただ蜘蛛の巣が非常に多くあり、これには難儀させられた。道中の展望は良くなかったが、一部の岩場からは東に展望が開けており、揖保川流域の山並みが眺められた。山頂は雑木に囲まれて北の方向が一部覗けるだけだったが、少し東の位置に岩場があって、そこからは南西方向がが大きく開けており、大蔵山を始めとして広く展望が得られた。西には三濃山も見えておりけっこう山深さを感じる眺めだった。ところでこの日は季節柄なのか、登山口から山頂に至るまで多種多様のキノコを見かけた。毒キノコも多かったが、イグチ系など食用キノコも多く見られた。中でもタマゴタケの群落に出会ったときは思わず快哉を叫んだ。
(2002/9記)(2007/8改訂)(2020/4写真改訂) |