地形図では伊勢山の名は三等三角点のある最高点ピーク(本峰)と、「神座の窟」を山頂直下に持つ西のピーク(西峰)の両方に見られるが、麓から眺める山としては、どうしても岩壁の姿が印象的な西峰を伊勢山と呼んでしまいそうである。国道29号線を走って姫路市の林田町を抜けるときは、いつも東に目を向けて伊勢山西峰の姿を探すのを常としていた。その伊勢山を初めて訪れたのは1995年の4月のことだった。登山道の有無が分からず、地図を見て、林田町側から登ることにした。車は林田町奥佐見の伊勢神社に駐車した。神社の前の小径を進んで行くと、東北方向に道は上り坂となったので、そのまま尾根に出ることを期待したが、杉の植林帯を過ぎると道は消えてしまった。それでもそのまま登って行くと、伊勢山の南西尾根に出て、更に登ると岩尾根の上に出た。そこが西峰のピークだった。一帯は岩場になっており、展望は抜群だった。そして三角点ピークは指呼の距離だった。そちらへは登山道が続いていたため、その道を辿って本峰に向かった。けっこうイバラが多い道で荒れていたが、10分ほどで山頂に着いた。ただそこは雑木に囲まれて展望は良くなかったため、長居はせず西峰に戻って昼食とした。そこからの展望は本当に素晴らしく、姫路、龍野の山々を眺め渡すことが出来た。また北には明神山が大きく構えていた。その昼食中に小雨が降り出したので、早々に下山することにした。岩場の北に、西方向に向かうはっきりとした登山道を見たため(これが正規の登山道か)、これを下ることにした。この道を下り出すと、岩壁の上部に大きな穴が空いており、岩屋のようになっているいることが分かった。石仏も置かれていた。そこからも絶景だった。後は道なりに下って麓へと下りて行った。後に岩壁の穴は「神坐の窟(しんざのいわや)」と呼ばれていることを知った。
(2002/6記)(2011/12改訂)(2020/10写真改訂) |