六道山と仏教的な名の付いた山が、赤穂市の西部、黒鉄山の北に佇んでいる。この名に惹かれて訪れたのは、1997年の年末のことだった。赤穂市有年の横山集落を西に進んで、六道山の南西麓に有る溜め池のそばに駐車とした。辺りに登山道が見えなかったため、適当に登るしかなかったが、瀬戸内側の低山にはシダヤブの山が多いので、どこからでも登るという訳にはいかず、慎重に辺りを探って決めたのは、溜め池の北東角辺りから始まる沢に沿って登り出すことだった。低山にしては幅のある沢で、沢沿いにはうっすらと小径らしいものも見えた。この沢沿いを歩き始めると、どんどん北西方向に進んで山頂方向とは離れ出したが、登り易いため行けるところまで行くことにした。途中では沢に入って滑り易い岩を登ったり、かなり藪っぽい所も有ったが、稜線が近づいて疎らな雑木林となり、少しは歩き易くなって来た。沢を登り詰めて稜線に出ると、一つのピークに立った。地図で確認すると、六道山から大きく離れた西向かいのピークのようで、標高点は無かったが300mほどのピークだった。そこは結構展望も良く、東に六道山の山頂がすっきり見えていた。そこからは荒れてはいるものの稜線道があり、目印のテープも付いていた。この稜線道を歩いて山頂へと向かった。登ってきた沢に平行して戻る形だったが、確実に山頂が近づいて来た。一度鞍部まで下って登り返すようになった。途中シダヤブ状の所も見られたが、踏み跡がしっかりしていたので、迷うことは無かった。ようよう着いた山頂は平坦で、雑木が取り囲んでいた。ただ北側は結構空いており、上郡町から相生市北部にかけての山々が眺められた。肌寒さのために長くは休憩出来ず、昼を済ますと下山に向かった。鞍部までは登りと同じコースをとり、鞍部から池に向かっての急斜面を下った。そこにもか細く小径が付いており、それを辿って行った。その急尾根は南に向かっており、その南に黒鉄山がすっきりと眺められた。また遠くに小豆島も見えていた。下りきるとうまく駐車地点に近い池の端に出た。
(2002/9記)(2013/2改訂)(2021/3改訂2) |