再訪は2002年9月だった。この日は岡山県の小房山に登っており、その帰りは国道373号線を走っていた。そして佐用町に入って利神山を見たとき、その山頂が少しの木々を残すだけですっきりとした姿に変わっていることに気が付いた。それを見て山頂はさぞや展望が良くなっているのではと思ったものである。さっそく翌週に登ることにした。但し、この山だけを目指したのでは無く、岡山県の星祭山に登る前の足慣らしとして訪れた。利神小学校のそばまで来ると、学校はこの日は運動会なのか大勢の人が集まっていた。その利神小学校を右手に見ながら通り過ぎると橋があり、そこに利神山への標識を見た。そこで橋を渡り、橋の傍らに駐車とした。そこより智頭鉄道の線路に沿って小径が続いていた。それを歩き出すとクリのイガがいっぱい落ちていた。山裾はクリの木が多いようだった。小径はトンネルの脇を過ぎた辺りで田んぼの中へと続くのだが、線路の下を潜る小径があり、そちらに入った。目の前に一軒の民家があり、その前から山裾を小径が続いていた。始めに跨げる程度の害獣除けネットがあり、それを越して歩き始めた。小径は山裾を通るため平坦なままで、その小径にもクリのイガがいっぱい落ちていた。落ちたばかりなのか実の詰まったイガも幾つか見かけた。その先で小径はつづら折れの道となって山肌を登り出した。辺りの雑草は刈り払われており、前回と比べて展望はずいぶん良くなっていた。川沿いに続く土蔵風景が美しと思った。程なく小さな社に着き、木立に囲まれた尾根を登るようになった。その尾根道もよく踏まれており、程良い歩き易さになっていた。その雰囲気のまま気楽に山上の城跡に着いた。頂上となる本丸跡は目前だった。ところがそこには石垣崩壊の恐れがあるため近寄らないようにとの注意書きがあった。見たところ石垣の端こそ崩れ易そうだったが、登山道は問題無さそうなので、気にせず本丸跡を目指した。その本丸跡を見るとそこは芝地に数本の木々があるだけだった。そして山頂に立ってみると、麓からの想像通りに素晴らしい展望が広がっていた。東の林は消えてほぼ360度の眺望となっており、ここに城が建っていたのもうなずける風景が広がっていた。西は街道を見下ろせ、北も東も西も手に取るように眺められた。その風景は古き懐かしさがあり、城の建っていた往時もこの風景とさほど変わっていないのではとの感慨を持ちながら、暫し佇んでいた。
(2002/10記)(2012/12改訂)(2021/2写真改訂) |