庄ノ上山は兵庫岡山の県境尾根にあってほぼ中間辺りに位置する山で、南麓には峠道を挟んで兵庫側は庄集落が、岡山側には蓮花寺集落があるが、この二つの集落は歩いて数分の距離しか離れていない。
この庄ノ上山に2002年6月中旬の梅雨の中休みに訪れた。 国道179号線を上月町内の力万地区で離れて、須安集落を抜ける脇道に入った。道をそのまま川沿いに走って庄集落に向かおうとしたところ、途中で道路工事のため通行止めになっていた。そこで山の中腹を通る別の道で大回りして庄集落に入った。庄ノ上山には南麓側からと考えていたが、取り付き地点を決めかねて、岡山県側の蓮花寺集落に入ったりもしたが、結局は県境の峠に見えた小径で県境尾根を北に辿ることにした。車は峠を兵庫県側に数十メートル戻って庄集落外れの車道の脇に駐車した。峠から始まった小径は歩き易い山道であったが、程なく着いた墓場で終わってしまった。その先は踏み跡程度の道しか見えなかった。その有るか無きかの道を辿るが、尾根がはっきりしておらず、気が付くと岡山側の麓に近づき出したので、あわてて軌道修正をした。それでも尾根筋ははっきりしなかった。まずは三角点ピークの南にある小ピークを目指して行くが、もう尾根を外していることが分かったので、灌木をかき分けてピークを真っ直ぐに目指して登った。ところでなぜか山中に墓を多く見かけた。小ピークに着いてみたが、そこは植林に囲まれて何も見えなかった。ただ小径がそこより北に向かって付いていたので、それを辿ることにした。そして一度鞍部に出て、はっきりとした道に出た。ただその道は南北に通じてはいたが、山頂方向の尾根には向かっていないようなので、そこで山頂に向かって灌木のヤブに突っ込むことにした。そしてピークらしい所に出てみたが、一帯は同じような高さなので、どこが三角点ピークなのかはっきりしなかった。下ったり上がったりと適当に辺りを探るが、ヤブコギばかりであまり動いていないように思えた。そして少し下った所でまたはっきりとした道に出会った。先ほど出会った道とも思えたが、はっきりしなかった。その道を高い方向となる南に辿ってみると、何と三角点に着くことになった。どうも山頂の近くを通り越していたようだ。三角点の周りは笹ヤブで、また雑木が周囲を取り囲み展望は無かった。ただ木陰なので涼しさがあって助かった。何とか展望は無いものかと、少し開けていそうな東の方向を探ってみることにした。30メートルほど離れた所で雑木が切れたが、笹が視界を阻んでいた。その笹が密生している上に蔓草が絡んでおり、かき分けることも出来なかった。一層のこと笹の上に乗ってみると、何とか立つことが出来、漸く展望を得た。但し近くの丘の風景だけで、遠方は見えなかった。改めて辺りを見るとそばに枯れかかった松があり、これには登れそうだった。そこで何とか登ろうとすると、そこの松にも蔓草がからんで登り難かった。蔓草をむりやり引きちぎって登って行くと、先ほどの展望よりも更に広い展望を得た。北東方向のみだったが、なだらかな山容に所々無線塔が見えるのは大撫山と思える。その背後には日名倉山と後山がほとんどモヤにとけ込もうとしていた。この展望でまずは良しとした。三角点に戻って昼食をとる。小休止の後、下山としたが、そこに着くのに辿った小径をそのまま南に辿ることにした。その小径は尾根筋を離れてからも常にはっきりしており、何の問題も無く下って行けた。そして最後下り着いた所は岡山側の蓮花寺集落の外れで、スタート点の峠とは数百メートルと離れてはいなかった。この下山で歩いた道が一番簡単な庄ノ上山へのコースかと思えた。駐車地点に戻って庄集落を眺めると、明るい陽射しの中に田植えの終わった田と集落が程良くマッチしており、美しい佇まいを見せていた。
(2002/6記)(2012/4改訂)(2022/6写真改訂) |