この赤十字山の名はけっこうインパクトがあり、どのような山なのかと興味を持っていたが、地図を見ると山頂まで車道が付いており、ハイキングの対象とは思えずなかなか足が向かなかった。その赤十字山を登るのなら雨の日の方が良いのではと、ふと思いついたのは1998年の梅雨どきだった。雨の日なら車道のある山の方が無難に歩けるのではとの単純な思い付きだったが。
国道179号線を南光町中島で離れて多賀への道に入った。そして丸尾集落の外れから始まる林道の入口近くに駐車とした。山頂には電波塔があり、そこまで舗装された林道と言うよりも立派な車道が通じている。いつ雨が降ってきてもおかしくない空模様のため、雨具を着て歩き始めた。ひたすら黙々と車道を登っていると、道路わきにぽつぽつとササユリの咲いているのが眺められた。雨はやはり降り出して、始めは弱かったが中腹辺りより強い降りに変わって来た。そしてガスが立ち込め出した。その中を山頂部に出て北のピークに向かった。そして車道終点のそばの樹林に囲まれたピークに着いたが、そこにあると思っていた三角点は見当たらなかった。そこで地図を見直せば良かったのだが、雨の中のため確認することを怠り、北西に見えた次のピークに向かってそのまま歩いてしまった。ほぼ同じ高さの次のピークには共同アンテナが立っていたものの、そこにも三角点は無かった。その先は下り坂となっていたが、更に別のピークがあるのではと勘違いしてそのまま更に進んでしまった。急尾根の下りとなり道もはっきりせず、また雨で滑り易くなって来た。さすがにこれはおかしいと思い、やや緩やかな所に出たときに漸く地図を開いた。そして別のピークなど無く、やはり車道終点の近くに三角点記号のあることを確認した。最初に着いたピークまで登り直して、そして落ち着いて周囲を眺めると、通信設備を挟んで一段高いピークが目の前にあるのが分かった。すぐにそのピークに立つと、あっさりと三角点を見た。勘違いでよけいな苦労をしてしまったが、これも運動だったと納得することにした。三角点は周囲を雑木に囲まれて展望は良いとは言えなかったが、例え展望があったとしてもガスのため、展望を楽しむわけにはいかなかった。三角点のそばで昼食とする。その間に雨足が更に強くなって来たため、早々と食事を済ませて下山とした。同じ車道を歩いて戻って行ったが、その間に雨は止み、漸く周囲が見え出したときは、登山を終えようとするときだった。
(2007/9記)(2021/12改訂) |