今はたつの市だが、旧新宮町の西部、三濃山の北に広がる丘陵地帯が播磨科学公園都市として大きく開発されているとき、その目玉施設として大型放射光施設(別称・スプリング8)が出来ることはニュースとして聞き知っていたが、その完成が近くなってその姿が新聞紙上で見られるようになったとき、その巨大施設を山の上から見てみようと思い付いた。1996年3月のことで、どの山が良いのだろうかと「三日月」の地図を眺めると、建設地点にごく近い山として多賀登山が目に付いた。この山にはまだ登っていなかったため、すんなりとこの山から眺めようと決めた。そしてどうせ登るのなら尾根歩きも楽しもうと、標高差のある北側からの尾根を歩くことにした。
この日向かったのは北麓となる旧三日月町の弦谷集落で、弦谷川そばの空き地に駐車とした。そのそばより尾根は北から南へと延びて山頂に向かっている。尾根に取り付いてみると、そこには踏み跡程度の小径が続いていた。多少潅木の小枝が煩わしかったが、歩度が落ちるほどでも無く登って行けた。尾根の展望は良く無かったが、暫く歩くと防鹿ネットの工事をしている場所に出た。そこは一帯がきれいに伐採されており、南から東にかけて頗る展望が良かった。播磨丘陵の伸びやかな風景を楽しめた。山頂が近づくと尾根はなだらかになって頂上方向が分かり難くなったが、尾根が西に曲がっていることを意識しながら適当に歩くうちに何となくの感じで山頂に着くことが出来た。その山頂は大きな木が多くあって展望は良く無かった。西と南の一部が少し開けている程度だった。そして期待のスプリング8はというと南の方向の木々の隙間からかろうじて建設中の姿を眺めることが出来た。満足でも無かったが、まずは予定通りにスプリング8を眺めたことで下山とした。この下山でちょっと難儀することになった。すんなりと登って来たコースを引き返せば良かったのだが、真っ直ぐ北に延びる尾根を歩こうとして急斜面の植林帯に入ってしまった。結局はトラバースして登って来たコースに戻ることになった。登り終わっての多賀登山の印象としては、植林が多くあまり低山の雰囲気は味わえなかった。ただ尾根道が整備されれば、ほど良いハイキングコースになるのではと思われた。
(2007/12記)(2012/3改訂)(2020/10写真改訂) |