国道29号線を山崎町から一宮町に入るときに、揖保川の対岸を見ると、与位集落へと長い尾根が延びており、揖保川そばで終わっている。尾根のピークには送電塔が建っており、きっと展望が良いだろうと思えた。その471mピーク(点名・清野)に向かったのは2000年2月の建国記念日のこと。前日に雪が降ったため、一宮の町を始め周囲の山並みはうっすらと雪化粧をしていた。目指したコースは揖保川沿いのその尾根で、与位集落側の尾根端からひたすら登って行くことにした。
山崎町与位の集落を抜け、道が山際と揖保川の間を進み出してすぐに見えた道脇の小スペースに駐車とした。駐車地点のそばの山裾より急坂で始まる山道が見えたので、それを登って尾根に出ることにした。ところが道は中腹にある小さな祠の前で終わってしまった。単なる祠への小径だったようである。そこから先は岩肌も見える急斜面だった。但し木に掴まってなら何とか登れそうに見えたので、少し危ないと感じながらも登って行くことにした。枝でも折れれば滑落しそうだったが、なんとか尾根上に出られて一安心だった。尾根にはうっすらと雪が残っていた。尾根道は見当たらなかったが、尾根筋の木々は空いておりけっこう気軽に登って行けた。程なく230mピークに着いた。そこは展望もあって揖保川流域が眺められた。少し下って鞍部に着き、その登り返しに入ったときはっきりとした山道に出会った。どうやらこの先にある送電塔の巡視路のようだった。道は東西から来ており、ここで合流して尾根道となって山頂方向に延びていた。少しずつ雪が増えて来たが、この巡視路のおかげで何の問題も無く登って行けた。ただ落ち葉の上に雪の積もっている所があって少し滑り易くなっており、そこは少し注意が必要だった。程なく周囲を柵に囲まれた真新しい送電塔に出会った。柵内に入らずに周囲を巡って迂回することにした。これが大いに難儀することになった。急斜面には送電塔の工事で切り倒された雑木が多く残っており、それに雪が付いていて歩き難い上に滑り易くなっていた。更にイバラも繁茂していた。スパッツを準備していなかったので、靴の中に雪が入らないように慎重に登らなければならなかった。漸く送電塔の上部に出て柵を見ると、柵の一部が出入り出来るようになっているのが分かった。当然下の方も開けられたはずで、下山時は柵内を通ることにした。再び尾根道登りを続ける。その辺りで積雪は5センチほどか。周囲は植林地となっており展望は無かったが、程良い上り坂でリズム良く登って行けた。山頂近くなって道が尾根を外れ出したので、道を離れて尾根をそのまま登ることにした。すぐに東からの尾根との合流点に着くと、そこで再び山道と出会った。そこから山頂まではもう僅かな距離だった。山頂に着くと北面側は今が送電塔の工事中で、鉄塔は出来ているもののケーブルはまだ張られていない状態だった。その工事のために一帯は伐採されており、絶好の展望地になっていた。立入禁止となっていたが休日のようで誰もおらず、遠慮しながら入ってそこからの展望を大いに楽しんだ。北西には黒尾山がけっこう近くに見えていた。ただその眺めは幾つもの送電塔があって少々艶消しの風景だった。東側の風景が素晴らしく、足下には伊和神社、そして背後の伊和三山を始め東山から暁晴山へと続く山並みが一望だった。どの山もうっすらと雪化粧をしていた。その山頂部で積雪は10センチほどだった。山頂では1時間ほど過ごして下山とした。下山は同じコースを戻って行く。中間部の送電塔は柵内を歩いたため、登りでした苦労は全く無し。その柵内にはタラノキがたくさんあって驚かされた。230mピーク手前の鞍部からは西に向かっていた山道を下って行った。最初は山腹を巻くように北西に向かい、200mほど進んだ頃に漸く麓に向かって下り出した。下り着いて高尾川を渡ると、林道・高尾線に出会った。そこから林道口までは僅かな距離だった。その舗装された林道を歩いて駐車地点へと戻って行った。
(2002/7記)(2012/7改訂)(2022/9写真改訂) |