TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨 
 
篠の丸  (戸倉山) 512.0m No.2 宍粟市
 ささのまる
一本松 320m
1/2.5万地図 : 山崎
 
【2009年7月】 2009-75(TAJI&HM)
 
    《篠の丸》 長水山への宇野コースより  2009 / 7

 2009年の梅雨は7月後半となっても明ける気配は無く、最終週も雨の予想だった。そこでいっそうのこと、雨のハイキングを楽しむことにした。その雨の季節の里山はキノコの季節にもなるので、雑木帯の尾根ではキノコ観察が楽しめそうだった。そこで易しく歩けそうな尾根を考えたとき、一本松から篠の丸へと続く尾根が面白いのではと思われた。ただ一本松も篠の丸も個々には登っているものの、尾根を通しては歩いていなかった。そのため易しい尾根とは想像でしかなかったが、地図眺めてと宍粟50山のガイドブックで尾根が篠の丸の登山コースとして紹介されていることとで、無理のないコースではと考えた次第だった。その尾根コースを一本松側からピストンで歩くことにした。
 宍粟市山崎町に入ったときは曇り空で雨は降っていなかったが、最上山公園への車道に入り、中腹の駐車地点に着いた直後より雨が降り出した。しかも強い降りだった。そこで雨の勢いが弱まるまで車の中で暫し雨宿りとした。20分近く待って9時が近づいた頃、雨の勢いが弱まってきた。それを見てハイキング開始とした。その駐車地点は一本松と最上山の中間地点であり、一本松までは標高差にして80mでしかなかった。しかも遊歩道の感じで登山道が通じているので、ごく散歩感覚で一本松へと歩いて行った。登山道を囲むカエデの青葉が雨に濡れてその色を鮮やかにしていた。もう道脇にキノコがちらほら見えていた。雨は途中から小止みになっていたのだが、一本松山頂の篠の丸城址に着くと、再び強く降り出した。そこで城址の外れに建つ東屋で雨宿りとした。その休憩で、はや一匹の山ヒルが服に貼り付いていた。宍粟の山には山ヒルが多いのだが、この季節は一段と警戒が必要のようだった。雨が弱くなったのを見て、尾根歩きを開始した。少し下って登り返した所が四等三角点ピーク(点名・山崎)だった。その先は緩やかな尾根に歩き易い小径が続いて、良い感じの雨中ハイキングとなった。周囲は雑木が広がっており、ヤブの所は無かった。キノコもちらほら生えていた。形の良いキノコが現れるたびに足を止めて観察した。尾根は小さなアップダウンを繰り返し、中間部で一番高い390mほどのピークを越した先に次の三角点(点名・高下)が現れた。更にその先には二級基準点も置かれていた。尾根はときに植林地が現れることがあったが、概ね雑木林が続いた。点名・高下の先で木々が空いて周囲が明るくなったときがあったが、その先はガスで閉ざされていた。どうやらこの日は展望は諦めた方が良いようだった。進むうちに尾根にもうっすらガスがかかるようになった。その風景の中をキノコ観察も変わらず続けていたので、歩度はゆっくりだった。 上り坂が続いて472mピークが近づいた辺りから尾根の様子が変わって、ちょっとヤブになってきた。ときにどこを歩こうかと考えることがあったが、目印テープが付いていたので、それを追うように歩くと、またコースを辿れるようになった。472mピークはちょっとした岩のピークだった。そこを越すと尾根筋を歩かず、尾根より少し下がった南斜面側をトラバースの形で歩くようになった。どうやら尾根筋はヤブのようで、植林の作業道を利用しているように思えたが、何となく無理作りのコースのように思えた。もうハイキング気分では無く、篠の丸のピークハントをするためだけに歩いているような感じだった。篠の丸が近づくと再び尾根筋を歩くようになり、急坂を登って山頂部に出た。一帯は広く平坦になっていたが、ピークとしては南と北に二つあり、北側に三角点があるのは前回登山で分かっていたので、そちらへと向かった。植林地を抜けると草ヤブの中を歩くようになった。前回の登山ではクマザサがヤブと言えない程度に生えていたと記憶していたのだが、この12年ほどでササは消えて山頂の様子が変わってしまったようだった。方向が分かっているので草ヤブの踏み分け道を気にせず進んだが、初めてだと一帯が平坦なだけに、少し迷うのではと思えた。また踏み分け道も人の訪れが少ないようだと、すぐに消えてしまうのではと思われるほど草の勢いは強そうだった。その中に三角点があり、そばに山名標柱が立っていたが、辺りの様子はすっかり草ヤブだった。山頂の様子を見る限りでは、ハイキングの対象とは言えず、宍粟50山に入れるには無理があるのではと思えた。ハイキングとしてなら主役は一本松ではと思われるが、遠くから見たときの風格ある姿で選ばれたのかも知れないと納得することにした。三角点をちらりと見ただけで引き返した。そして休憩は南側ピークの木立の中でとることにした。その休憩中になだらかになっている周囲を眺めて、山名標柱も三角点のそばに立てずとも、休憩に適した適当な位置で良かったのではと思った。その昼休憩も長くはとらず、簡単に食事を済ますと、すぐに引き返すことにした。一本松から篠の丸までに2時間以上かかって来ていたが、これはキノコ観察をしていたためでもあり、ちょっとかかり過ぎと言えた。下山では道の様子が分かったことでもあり、スタスタと戻ることにした。天気は相変わらず雨が降ったり止んだりだったが、もう強く降ることは無かった。あまり休みも取らず歩いたので、篠の丸を離れてから一本松までは100分ほどで戻って来た。これぐらいの時間なら、二つの山は適度な距離にあると言えそうだった。一本松では再び東屋で一休みとした。雨は止んでおり、足下に山崎町の市街地がくっきりと見えていた。後は駐車地点までの10分ほどの距離を、散策気分で戻って行くだけだった。
 ところでこの512mピーク(点名・上牧谷)のことだが、「篠の丸」として宍粟50山に選ばれるまでは、地元の呼び名である「戸倉山」として認識され出していたと思われるのだが、急に現れた「篠の丸」の名に興味を持ったこともこの日に登った理由の一つと言える。そして登り終わって、これまで篠ノ丸と言えば一本松山上の城跡のことで、その篠ノ丸城址との距離がかなりあると言うことに少々疑問を感じてしまった。ひょっとすると、戸倉山の名を使えば旧波賀町の戸倉山と勘違いする恐れがある理由で、近くの篠ノ丸の名を使ったかと勘ぐりたくなった。まあそのことは512mピーク自体に罪は無いのであまり考えないことにして、次回は晴れた日に登って、展望を見つけるのも面白いかと新たな思いが湧いてきた。
(2009/8記)(2021/6写真改訂)
<登山日> 2009年7月25日 8:53駐車場スタート/9:13〜35一本松(東屋で雨宿り)/9:40点名・山崎/10:30点名・高下/11:24[472m]ピーク/11:47〜12:02篠の丸/12:20[472m]ピーク/12:58点名・高下/13:07[390m]ピーク/13:32点名・高下/13:38〜46一本松/13:57エンド。
(天気) 雨。強く降ったり弱く降ったり、ときには止んだりを繰り返す。気温は22℃とこの季節にしては少し低めだった。風はほとんどなし。尾根はうっすらガスのかかることもあり、視界は良くなかった。
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小雨の中、一本松登山口へ向かった 鳥居を潜った 早くもキノコを見かけだした 
カエデの若葉が頭上を覆っていた シメジの仲間か? 途中に高取山のビューポイントがあった
易しい登山道を登って行く 一本松に着いた 一帯は公園風の広場になっていた シロイボカサタケか?
雨が強くなってきたので、東屋で雨宿りとした 東屋の近くでキノコを見かけた これはチチタケの仲間か? 338mピークに着いて三等三角点(点名・山崎)を見た
ドクベニタケの赤い傘が鮮やかだった シダの茂る所が現れたが、すぐに終わった 尾根にはうっすらガスがかかっていた
これもシメジの仲間か? 優しげな小径が続いた ベニタケの仲間か?
タマシロオニタケか? 傘は20cmほどあった このシロオニタケの幼菌をよく見た ヌメリニガイグチか?
篠の丸と一本松の方向を示す標識をよく目にした イグチの仲間を見た 次の四等三角点(点名・高下)は尾根の途中だった
緩やかな尾根歩きが続く ヒメカバイロタケか? 赤い傘の小さなキノコを見る
シメジ族のキノコの幼菌を見る 倒木の目立つ所があった 焦げ目のような模様の付いたキノコを見る
次第に尾根は植林地が多くなってきた 緩やかな上り坂が続くようになった 青いキノコを見た
472mピークが近づいて草ヤブが目に付きだした 472mピークは岩場のピークだった 尾根筋から少し離れて歩くことがあった
篠の丸へと最後の登りにかかった 山頂に着く手前は、薄暗い植林地だった 三角点ピークへと草ヤブの中を進んだ
三角点のそばに山名標柱が立っていた 山頂の三等三角点(点名・上牧谷)を見る 三角点とほぼ同じ高さの南隣のピークで休憩をとった
下山はキノコ観察はせず、すたすたと往路を戻った 二級基準点を見る 一本松の一角に建つ東屋まで戻ってきた
東屋の前からは山崎町の市街地が一望だった 広場の方向へと向かった 一本松の広場に戻ってきた