宮山は伊和神社の北にある見栄えの良い山で、同神社の一つ山。一宮町中心部のシンボルと言える山なのだが、周囲の山に比べて標高が低いため、訪れるのが後回しになり、漸く訪れたのは1999年10月初めのことだった。登山路は有ると思えたが、地図に記載が無いので、山頂から真南に真っ直ぐ伸びる尾根を登ることにした。南の裾野を通る林道・東市場線の近くに墓地が有り、そこに駐車とした。尾根端に登路を求めたが見当たらず、適当に取り付いて登ることにした。この尾根周辺は概ね植林帯で、雑草や雑木に煩わされることは無かったが、倒木が少し邪魔をしていた。登って行るうちに尾根がはっきりして、その尾根には雑木にクマザサが混じるようになった。岩も所々露出している。尾根が歩きにくくなったので、尾根そばの植林帯の切れ目を登って行く。中腹を過ぎた辺りで尾根に出てみると、すぐそばに3メートルほどの幅がありそうな立派な山道を見た。作られてまだ新しいらしく、土がむき出しで荒々しかった。また作ったまま手入れされていないのか、所々で土が雨に流されていた。その山道を登って行くと、途中より尾根に旧道と思える登山道が見えたので、そちらに切り替えた。露岩の多いコースだったが、小さな祠があったりして、鄙びた落ち着きがあった。山頂近くで城跡とも思える石垣上の平らな場所に出た。ちょっとした展望台になっており、西に黒尾山が大きく眺められた。そこを過ぎると新登山道に再び合流し、階段状に作られた道を登った先で山頂に出た。一帯は平らになっており、いかにも本丸跡ではと思える風情のある場所だった。そばに岡城(おかじろ)
跡の事跡が書かれた案内板が立っていて、なるほどと納得した。周囲の雑木は適当に刈り払われて、日除け程度にヒノキが残されているだけだったので展望は悪くなかった。また休む所として最適な場所になっていた。ちょうど涼しげな風が木陰を通っており、快適に過ごすことが出来た。北は間近に花咲山が全姿を見せており、その続きは生栖行者山で暁晴山へと尾根は続いていた。花咲山の右肩には東山が山頂部を覗かせていた。南東は白倉山、そして西は黒尾山だが、そちらは雑木に半ば隠されていた。ただ生憎のぼやけた視界だったのが惜しまれた。下山は新登山道で下ることにした。むき出しの土道は少し滑り易くなっていた。登山口がどこかと興味を持って下って行くと、道は途中より植林帯の中をジグザグ道となり、作業道を歩いている雰囲気だった。そして最後に神戸(かんべ)配水池そばに出て舗装路に合流した。その辺りは一宮町「町民の森」となっており、公園風に整備されていた。公園を離れると林道・東市場線に出たが、そこは往路の取り付き地点とは数十メートルも離れていなかった。
(2002/1記)(2012/7改訂)(2019/2写真改訂) |