姫路市安富町と宍粟市を分ける尾根の中に淡路ヶ丸がある。この南北に長い尾根は安富町側からは近く、安富町の末広集落からはその山稜を間近に眺めることが出来るが、宍粟市の山崎町側からは、前衛に同程度の標高の尾根があって、麓からすっきり見ることは出来ない。
この淡路ヶ丸の尾根を初めて歩いたのは1997年の大晦日の日だった。まだこのときは534mピークが淡路ヶ丸の名であることも知らず、単に1997年の最後の日を静かな山で過ごそうとしただけだった。ただ急な思い付きでは無く、その三日前の休日に西向かいの尾根に登っており、そこから明神山が大きく見えたことで、その東の尾根なら更に良く見えるのではの思いもあってのことだった。三日前と同じく、山崎町の三谷川沿いを遡り、三谷集落を抜けて道が二つの林道に分かれる分岐点に駐車とした。そして右手の林道・名坂山崎線を歩き出した。南東へと向かう林道は舗装されており、尾根近くまで続いていた。林道が終わってもはっきりとした山道が植林地の斜面を尾根へと延びていた。境界尾根に出ると尾根道こそ見なかったが、植林地にしても雑木林にしても、下草は少なく疎らで歩き易かった。傾斜もきつくは無かった。最初のピークである524mピークに着くと、そこは北面の植林がまだ苗木程度だったため、見事な展望が広がっていた。水剣山から北の山並みは雨雲で全く見えなかったが、それ以南の山崎町の山々が広々と見渡せた。長水山の姿が良かった。また三日前に登った尾根も間近に良く見えていた。暫く佇んでいたが、陽が陰って肌寒くなったため歩を進めた。尾根は植林地が多くを占めており、展望を閉ざしていた。雑木林の所でも同じで、期待した明神山は全く見えなかった。ただ歩く分には気楽だった。次に着いた534mピーク(淡路ヶ丸)は、三角点こそ有ったが、そこも展望は無く、一息ついただけで先へと進んだ。昼休憩はその先ので484mピークで行ったが、そこも植林と雑木の混合林が占めており展望は悪かった。曇り空の下、段々と気温が下がってきたため長居は出来ず、昼食も早々にそこより下山とした。近くに緩やかな尾根が見当たらなかったため、484mピークより西北西に延びる急尾根を下って林道に出た。尾根はきつかったが、思ったより歩き易くて一安心だった。ほとんど展望に恵まれない尾根歩きになってしまったが、のんびり歩けたのは良かった。
(2004/5記)(2015/1改訂)(2022/8写真改訂) |