国道29号線を一宮町に入ると、伊和三山が作り出す独特の風景が広がるが、その中でも目立ってボリューム感のあるのがこの花咲山だった。訪れたのは1997年1月26日。4日前の22日に大雪が有り、一宮町はすっかり雪景色になっていた。花咲山の南尾根の裾に町民センターがあるが、そのそばに駐車して、駐車場の外れから山裾に取り付いた。この日はほぼ晴れで、ときおり雪雲が太陽を隠していた。取り付いて暫くは潅木とクマザサがやや密集しており、またイバラもあって少し手こずらされた。小径は見えず、適当に登って行った。積雪はあまりなく、中腹までは地肌の見えている所も多くあった。中腹辺りよりクマザサは無くなり雑木も疎らになり、また傾斜も適度となって登り易くなった。ただ落ち葉の上に積もった雪で少々滑り易くなっていた。雑木が切れた所からは、伊和神社の杜を中心とした一宮の町並みが眺められた。町はすっかり雪化粧をしており、美しい佇まいを見せていた。登るほどに雪は増え、山頂付近は10〜15cmといったところか。尾根の山頂近い所には、点々と無線中継施設が建っていた。登り始めて1時間半ほどで山頂に着いた。山頂は測量のためか、一部が伐採されており、少しは展望があった。東には暁晴山を中心にして峰山高原の山々が眺められた。目を引いたのはこの花咲山の尾根続きとなる行者山で、雪化粧をしていつになく美しく見えていた。他では、南の方向に一宮町の町並みが広がっており、西は木に登ってだったが黒尾山から水剣山にかけての山並み(これは尾根の途中からも時々見えていた)を何とか見ることが出来た。ただ高い山には雪雲が時々かかるため、視界はさほど良いとは言えなかった。山頂では陽が陰ったときこそ冷たい風が吹いて底冷えする寒さになったが、陽が当たっているときは適度な暖かさで、その陽射しを浴びて暫し読書をして過ごした。帰路は同じコースを戻った。なおこの花咲山には山頂そばまで北側から車道が通じていた。
(2002/1記)(2012/6改訂)(2020/2写真改訂) |