釜床山は生野町の市街地に近い山なのだが、緩やかな尾根が続くためか、市街地からはすっきりとした姿を見せてくれない山である。この山の全貌を見るには生野高原側からが良いのではと、2003年10月に生野高原に近いトンガリ山に登ったとき山頂から釜床山を眺めてみた。小ぶりながらも、まとまった姿の山として眺められた。
この釜床山に初めて訪れたのは1998年4月のこと。生野ダム側から尾根を目指した。この日は雲一つ無い快晴だった。気温も低からず高からずで、涼しい風が快かった。車は生野ダムの駐車場に止めて、車道を生野市街の方向へと下って行った。道はやがてヘアピンカーブとなったが、その折れ曲がり点から沢沿いの道に入った。この道は始めこそ車の通れる幅があったが、間もなく山道に変わった。周囲は植林帯でほの暗さがった。その中を緩やかに登って行く。その道もやがて消え、沢を登ったり沢沿いの獣道を進んだりと、とにかく北の方向へと沢筋を辿った。やがて周囲は雑木林となり、沢も消えて急斜面となった。そこを登り切って主稜線に出た。この稜線を歩いて釜床山を目指した。はっきりとした道は無かったが、周囲は雰囲気の良い雑木林だった。落ち葉が散り敷いており、歩く分には良い感じだった。まだ木々は裸木の姿なので、まずまず展望は良かった。小さなピークを幾つか越して行く。真っ白なタムシバの花と満開の山桜がアクセントになっていた。途中大きく展望が開けた所があり、そこで小休止とした。視界はこの季節では良いほうで、生野高原から笠杉山へ、そして須留ヶ峰の山並みをすっきりと眺め渡せた。また野仏が二体ひっそりと佇んでいるのを見た。釜床山までは結構距離があり、最後にきつい坂があって、漸くの思いで山頂に着いた。そこは丈の低い笹が疎らに生えた平坦地で、展望もまずまずといったところか。休憩する場所としてはちょうど良い感じだった。また昼となって気温は上がっていたが、湿度が低いのでからっとしていた。涼しい風に吹かれながら、春の山中を満喫することが出来た。下山は同じ尾根を戻り、始めに稜線に出た地点を更に東へと進んだ。そして南に延びる尾根との分岐点に至った。そこは標高約670mで、この日の最高地点だった。その近くにも展望の良い所があり、笠杉山から須留ヶ峰に延びる尾根の向こうに、白い氷ノ山の山頂付近が僅かに覗いていた。そこからは南に延びる尾根を下って行った。送電塔の建つ所に出ると、そこも展望が良かった。銀山湖とそれを囲む山並み、遠くは高畑山から千ヶ峰へと続く尾根を見渡すことが出来た。そこより主尾根を外れて南東の支尾根を下って林道に出た。林道を歩くとすぐに銀山湖の湖周道路に出た。これを歩いて駐車地点へと戻った。湖岸の桜が満開だった。
(2004/7記)(2013/11改訂)(2022/3写真改訂) |