二度目の大中山は亀ヶ壺の滝と合わせて訪れた。7年後の01年7月の涼しさのある日だった。亀ヶ壺なら夢前町の河原川を遡るのが一般的だが、その林道入口にゲートが出来てからは、長い林道歩きの退屈さを考えて河原川遡行コースは諦めた。そこで今回は市川町からを目指すことにした。ついでに大中山も登ることにしたものである。
市川町鶴居から大中山山系に向かって林道が延びているが、その林道を進んで行く。林道は手入れがされていないため雨水によって随所で抉られており、かなりの荒れようだった。標高も300mを越して、大中山まで最短と思われる辺りで駐車とする。ちょうど上方に高圧電線が通っていた。やがて地図の通り林道は二手に分かれたが、ここは左手に向かう。すぐに真新しい林道が南西に分かれていたが、これは持っていた地図には載っていない。どこへ向かう林道か分からないので、元の林道をそのまま進むことにした。大中山への尾根が近いと思われる辺りで、林道を離れて山肌に取り付いた。一帯は植林帯だが灌木も茂っており、また間伐された木がそのままにされており、けっこう歩き難かった。登り易い所を選んで登って行くと、程なく真新しい林道に出会った。さきほどの枝分かれした林道のようだったが、かまわず横断して直登を続ける。傾斜もきつくなり木に捕まりながら登って行く。その辺りは雑木林だったが、やがてシダがはびこり出した。シダヤブがきつくなることを心配したが、深い所でも腰までで、シダをかき分けながら何とか登って行けた。ただ徐々にしか登れないので尾根に着くまでが長く感じられた。尾根に着くと漸く傾斜は緩くなり一安心だった。この尾根は町境尾根から東に枝分かれした尾根で、尾根道は見当たらなかった。尾根は灌木に覆われており、その灌木を避けながら登るので楽とは言えなかった。主尾根に合流するとそこには小径が付いており、煩わしさも少しは和らいだ。程なく大中山山頂へ。二度目の山頂だが、七年の間に雑木は一段と茂っており、展望は全く無かった。そこで近くの手頃な木に登って、何とか展望を得た。南に七種山系と明神山を、西に雪彦山から続く尾根を枝越しに漸く確認出来た。大中山を後にして漸く亀ヶ壺に向かう。大中山山頂より南西に真っ直ぐ延びる尾根で下って行く。この尾根は傾斜はさほどきつく無く樹間も空いており、けっこう気楽な下りだった。ただ最後は急傾斜となって注意が必要だった。河原川に下り着いて後は川を遡って行くことになるが、この日は水量が多く、以前に比べて河原の中ばかりを歩くわけにはいかなかった。何カ所か滑り易い岩場を歩いたり急傾斜の山裾を辿らなければならなかった。けっこう厳しさがあり、一歩間違えば怪我をする恐れがあった。亀ヶ壺が見えたときはほっとする思いだった。滝も水量はたっぷりあった。それが新緑に囲まれて一服の絵を見ているような清々しさがあった。漸く休憩となるが、この休憩中に少し水浴びを楽しんだ。水は冷たく長くは浸かっておれなかったが、肌に快かった。一休みを終えて河原川を更に北へ辿って行く。亀ヶ壺の上に出るのに東の急斜面を数十メートル登ったが、ここにも危険な所があって注意を要した。滝の上に出ると、後はひたすら緩やかな流れを遡るのみ。谷は薄暗かったが滝の下流と違って危険な所は全く無く、静かな山歩きを楽しめた。ただ途中何度か沢を右に左へと渡ることがあった。最後、十三回り峠に近づいた所で沢を離れ、山肌をジグザグに登って行く。峠に出ると真新しい林道に出会った。後はその林道を歩いて市川町側へ下って行く。峠付近には展望があり、遠く笠形山が望まれた。その林道は山襞に沿って作られており、どこまでも緩やかだった。やがて足下に駐車地点が見えてきた。最後は駐車地点が間近となって古い林道に合流した。朝に見た真新しい林道を下って来たようだった。
(2002/6記)(2013/3改訂)(2020/9改訂2) |