冬の季節に神河町と多可町を結ぶ高坂峠を越して多可町に入るときに楽しみがある。天気の良い朝には妙見山が雲海の上に端正な姿を浮かべていることがあり、それは絵になる光景で、目を見張らせてくれることである。その妙見山を初めて訪れたのは1993年1月の薄晴れの日のことだった。中町からの登山道が新設されたとの記事を神戸新聞で見かけたのがきっかけだった。ところが、中町へ入って南麓へと近づいたのだが、登山口の標識が見当たらず、どこから登ってよいのか掴めなかった。入山禁止の標識さえ見えた。そこで地形図を頼りに登ることにした。取り付いたのは門前地区から山中に入る山道だった。始めこそはっきりとしていたが、途中で道は消えてしまった。そこで無理やり尾根に取り付きヤブコギをして登って行くと、山頂近くで漸く登山道に出会った。それが新聞で紹介されていた登山道と思われた。後はその道を辿って、難なく山頂に立った。山頂には真新しい方位盤が置かれており、そこからは素晴らしい展望が広がっていた。特に西の展望が良く、笠形山から千ヶ峰、三国岳と、神埼郡と多可郡を分ける播磨の高峰が一望だった。その伸びやかな展望に疲れも一度に癒されてしまった。下山は登山道を利用した。良く整備された道で、気楽に下って行けた。そして下り着いた所は取り付き地点の門前からは東に1kmほど離れた東山地区だった。
(2005/10記)(2016/7改訂)(2023/3写真改訂) |