但馬の北東に位置する但東町は今は豊岡市但東町になっているが、角の形をして京都府に食い込んでいる。その但東町の北辺に二つの見栄えのする山が並んでいる。一つは法沢山で、もう一つがこの高竜寺ヶ岳である。先に法沢山を登って、山頂から見えた高竜寺ヶ岳の端正な姿が気に入ったものだった。そこで次は高竜寺ヶ岳をと当然思ったのだが、何故か機会が合わないまま3年が過ぎてしまい、ようやく向かったのは1998年の4月19日。春霞とでも呼ぶのが相応しい、モヤのきつい日に訪れた。但東町高龍寺集落の奥にある小さな神社のそばに駐車した。近くにいた人に高竜寺ヶ岳について訪ねると、勘違いされた様で、ここは高龍寺ですが、高龍寺と言うお寺はありませんと言われてしまった。ただ登山コースとしては地図にある破線路を歩き、あとは尾根をひたすら登って西隣の650mほどのピークをまずは目指すことを決めてはいた。破線路は林道の形で始まっていた。林道は沢沿いに続いており、道脇にワラビが点々と見られた。暫く進むと登山口と書かれた道標が現れて、ちゃんとしたコースのあることを知った。もう気分的には気楽なものである。林道を離れて登山道を登り出す。650mピークへ向かって真っ直ぐ延びる尾根に続く道は道幅も程良く、傾斜もさほどきつくは無くゆったりと登って行けた。ただ樹林に囲まれているので、展望は良いとは言えなかった。思った以上に歩き易い登山道だったので足取りも軽く登って行けたが、陽射しがきつく大汗をかいての登りとなった。ただあまり休む必要もなく、結構早く山頂手前のピークに着いた。山頂はもう目前に見えていた。落ち葉の散り敷いた少し滑り易い坂を下り、また登り直して山頂到着となった。歩き始めてから1時間もかかっていなかった。山頂は広く、よく整備されており、東屋やベンチ、方向指示板など一通りの設備が備わっていた。また展望も申し分無し。生憎のモヤの強い視界で、薄ぼんやりとしか見えていなかったが、近くの京都方面の山々やこの尾根続きにある法沢山などが眺められた。その山頂には先に夫婦連れがいたが、その二人が一生懸命に蝶の採集をしていたのが珍しかった。山頂も陽射しがきつく、けっこう暑さを感じたので、風通しの良い木陰で一休みとした。風は涼しく快く感じていたが、暫くいると逆に寒いくらいであった。まずは1時間半ほどのんびりと過ごすことが出来た。下山は同じコースを戻ったのだが、歩き易いこともあって45分で戻ってしまった。
(2001/12記)(2011/2改訂)(2020/5写真改訂) |