この笛石山は後山の支尾根の一ピークであるが、東側から眺めると、本当に優美な姿で独立峰のごとく眺められ、別名「千種富士」と呼ばれている。この山に登ったのは1994年10月のことで、南麓側となる千種町河呂の岡集落より往復した。道は植林帯では作業道として続いたが、後は山頂まで獣道のみ。ただ雑木に丈の低い笹が混じる程度で、さほど難儀も無く登って行けた。山頂に着くも、後山の支尾根の途中にある一ピークであるにすぎないので、山頂に着いた感じは少なかった。その山頂にはさほど大きな木は無く、数本の背の高い松に多少視界は遮られるものの、北方の山々が大きく眺められた。東の植松山から三室山、天児屋山まで。下りは、山頂で見えた小径を辿ることにした。その小径は往路よりも少し東寄りに付いていたが、少し下ると大きな岩に出会った。回りに大きな木が見えないので、その岩の上に立ってみた。すると予想以上に素晴らしい展望が広がった。東の植松山より南西の日名倉山まで遮るものも無く眺められた。この眺めで、笛石山に登って来た甲斐があったと思えた。そこより先はクマザサがきつくなって来たため、軌道修正して往路のコースに戻った。そしてふもとへと下りて行った。
(2001/12記)(2011/3改訂)(2020/6写真改訂) |