千種町にあっては900mのピークは目立たないが、「空山」の名は空想をかき立てられる名前である。そこでどのような山頂が待っているのかと期待をしたが、登山に関する情報は全く無かった。そうなると「西河内」の地図だけを頼りに登ることにした。向かったのは1996年の10月のこと。千種町河内地区、空山の南側を中坪林道が走っているが、その林道が二手に分岐する位置まで車を進めた。そこから左手の北西に向かう林道を歩き出した。10分ほど歩くと、林道は終点となった。後は谷筋に沿って続く踏み跡程度の小径を辿った。周囲は杉の植林帯だった。その小径も次第に怪しくなってきた。そうなると適当に登るしかなかったが、地図を見ると山頂から南西に延びる尾根が手頃に思えて、それに向かって登って行くことにした。一帯はすっかり杉の植林帯だった。予定通り尾根に出ると、その辺りは杉とクマザサと雑木が混在していた。その尾根を後は登って行くのだが、季節がらキノコとの出会いをを期待したのだが、ほとんど見かけなかった。あっても毒キノコがほとんどだった。多少クマザサが煩わしかったが、まずは無難に山頂に着いた。その山頂には三等三角点が有るはずなのだが、どうも見当たらなかった。三角点探しは諦めて今度は展望を探すことにした。山頂は雑木と杉が繁っており、展望は期待したほどは良くなかった。それでも植松山、後山が間近に見えている。位置を変えれば、ちくさ高原から天児屋山もまずまず見えていた。ただそれだけでは満足せず、手頃な杉の木を数メートル登ってみた。すると北の方向に三室山もすぐ近くに眺められた。この展望を得たことで、空山山頂の木々が切られれば、この山が千種町の山並みを間近に見るのに絶好の場所であることが分かった。下山は真っ直ぐ南へとのびる尾根を下って行くことにした。まずは尾根なりに下って、尾根が不確かになった辺りより南東方向に下って行くと、程なく林道に出会った。地図に描かれていない林道で、作業道・中坪2号線となっていた。それを下ると朝に歩いた中坪林道に合流した。そこから駐車地点までは僅かな距離だった。
(2001/11記)(2010/7改訂)(2021/10写真改訂) |