生野高原ハイキングと言えば、国民宿舎生野荘前の登山口から一気に達磨ヶ峰へと登り、そこを起点としてフトウガ峰へ、そして段ヶ峰へと高原ハイキングを楽しむのが定番であり、達磨ヶ峰だけを目指して登ることは少ないと考えられる。私もこれまで何度かこの定番コースを登っており必ず段ヶ峰まで足を延ばしていた。そのため達磨ヶ峰を一つの山としてはとらえておらず、段ヶ峰までの単なる一ピークぐらいの気持ちで登っていた。但し遠くからこの生野高原の尾根を見たときは別で、段ヶ峰もフトウガ峰も単なる丘の一ピークにしか見えないのに対して、達磨ヶ峰だけは堂々とした山っぷりを見せてくれた。それを一段と強く意識したのは2004年6月5日のことだった。この日は大河内町の北東に位置する699mピーク(点名・渕)に登ったのだが、そこから見た達磨ヶ峰は生野高原の最前衛の山として全姿を見せており、その堂々とした山容に見惚れてしまった。この日は澄んだ青空の広がる絶好の天気で、達磨ヶ峰の山肌は新緑でまぶしいばかりだった。この姿を見て達磨ヶ峰をぜひ登りたい気持ちが湧き上がってきた。そのときまだ午前中でもあったので、達磨ヶ峰を目指してすぐに下山に向かった。午後に早速登るためである。699mピークからの下山を終えるとすぐに北へと移動して、生野高原カントリークラブへの道に入った。そして登山口に着いたのだが、そこにあるはずの国民宿舎生野荘は消えており更地になっていた。前回は2000年1月に登っていたので、4年半ぶりに来たことになる。その間に生野荘は取り壊されたようだった。午後2二時前とあって、まだ登山中のハイカーの車が7,8台止まっていた。登山口にはトイレも水場もあって申し分なし。すぐにスタートした。急坂の登山道が山稜近くまで続くが、少し傾斜のきつめな登山道を踏みしめながら一気に登って行くのも悪くなかった。午前の登山で足に疲れはあったが、休まず登って行った。好天のため空気は暖められており、少々暑さを我慢しての登山だったが、それでも木陰では涼しい風が通っており、一涼の思いも味わえた。山稜が近づくと道は緩やかになり、辺りは笹が広がるだけとなって一気に展望が開けた。ざっと眺めて、東から南は三国岳から千ヶ峰、近くには高畑山、八幡山の尾根もすっきり見えている。また南方遠くには七種山も覗いていた。まずは山頂まで休まず登ることにした。そしてスタートしてから23分での山頂だった。ピークとなる三角点の位置では展望は今一つだったので、少し戻って展望の良い木陰で一休みとした。爽やかな季節とあって木陰は涼しく、ときおり渡る風も快かった。そしてじっくり山上からの展望を楽しんで午後のひとときを過ごした。達磨ヶ峰は標高のわりにごく気軽に山頂に立てるので、この日のように達磨ヶ峰だけを登るのであれば、午後からの登山も悪くないものだと思った。またいっそうのこと夕暮れ時を狙うのも一考かと思えた。下山は出来るだけゆっくりを心がけたが、それでも30分ほどで登山口に戻り着いた。一汗かくには本当に良い山だった。
(2004/8記)(2019/2写真改訂) |