四度目の東山は久々に一宮町から登ることにした。この日は梅雨の一休みと言った日で、雨の心配は無いものの空全体を薄い雲が覆っていた。始めはこれまでと同じく高野集落の入口に駐車して登り始めたのだが、不動滝に向かう道の入口に駐車場が出来ていたので、改めて車をそちらに移動した。登山道を歩き始めると、程なく不動滝に出会った。この滝は水量も落差もあってけっこう圧巻である。沢沿いにはこのほか幾つかの滝が現れたが、いずれも規模は小さく不動滝と比べると見劣りした。その沢に沿って道は続いていたが、次第に細くなって来た。周囲は薄暗い植林地だった。やがてなだらかな場所に行き着いた。そこは伐採後の植林地らしく、害獣避けネットに囲まれていた。どうやら道はそこで終わりらしく、そこで沢に降りて一休みとした。そして沢沿いを歩いて行くことにした。やや下草が煩わしい程度で、沢を渡ったり戻ったりしながら上流に向かって行った。傾斜は緩やかなままに続いた。やがて沢沿いが歩き難くなってきたので、沢脇の植林地を歩くことにした。その辺りの植林地は手入れが良く、下草も少なく歩き易かった。ただ刈り払われた枝が積もっており、それに足を滑らせることはあった。やがて沢も行き詰まってきたので、右手の急斜面に取り付き、尾根に向かって登って行った。その辺りの地肌は軟らかく、けっこう滑り易かった。ともかく町境尾根を目指して登って行った。尾根も近くなった頃、漸く傾斜が緩くなった。植林に混じって雑木林も現れた。登り詰めて尾根に出ると、フォレストステーション波賀からの立派な遊歩道に合流した。そこからは昨年の2月に歩いたコースを辿ることになった。植林に囲まれた緩やかな歩道は、全くのハイキング気分で歩いて行けた。ただ急坂を踏ん張って登って来たため、やや足に疲れを感じた。程なく広やかな山頂部に着いた。空は薄い青空に変わって来ており、明るい陽射しに緑がまぶしかった。山頂部を少し歩くと、三角点ピークに着いた。そこには前回見られなかった立派な展望台が出来ており驚かされた。既に7人ほどのハイカーが着いていた。さっそく展望台に上がってみた。展望台は5メートル程の高さがあり、まさに360度の眺望だった。ただ周囲に高い雑木もあって、山稜部のみ眺められる方向もあった。ただ冬になれば落葉もあってまずまずの展望が得られるとは思えた。その展望台には各方向に略図板があって、周囲の山々を特定出来るようになっていた。ただ生憎のモヤのきつい天気のため、どの山も薄ぼんや
りとしか見えていなかったのは残念だった。程なく先着のハイカーも去り、静かな山頂となった。意外と風が涼しく快適に過ごせた。下山は登りと同じルートを辿り、最後は不動滝で暫し涼をとった。このコースは常に水に恵まれおり、夏向きのコースではと思った。
(2004/1記)(2010/2改訂)(2022/6写真改訂) |