揖保川の源は宍粟の奥深い山だが、その源流部にある音水湖は千メートルを越える山々に囲まれている。その音水湖の東の尾根は、今は宍粟市として一つになっているが、旧波賀町と旧一宮町とを分けている。その尾根には個性的な山が並んでおり、登山としても面白い地域だが、その山群の中にあって一山はきれいな三角錐をしており、一目で一山と分かる個性を持っている。
この一山に初めて登ったのは1993年秋のことで、まさに秋晴れと呼べる快晴の日だった。一宮町の阿舎利集落から沢沿いの小径を歩き始めた。南西へと向かっていたがイバラがけっこうあって煩わしかった。やがて奥まった所にある堰堤に着くと、そこで同じく阿舎利集落から始まっている林道に合流した。後はその林道を登って行くことにした。道は阿舎利山へと向かっていたが、途中で、別の林道が一山方向に分かれたため、そちらに入った。そして林道の終点より尾根に取り付き、尾根道を歩いて山頂に着く。三角点は樹林の中だったが、北面が伐採されており、そこからは好展望が開けていた。阿舎利山から植松山までが良く見えていた。また遠くには氷ノ山や黒尾山も見えていた。帰路は林道を歩かず、林道の終点の位置より沢に向かっている山道を下った。その道は途中で消えてしまったが、かまわず沢まで下った。沢に下り着くと、その沢は往路で歩いた小径が通じている沢で、後は小径を歩いて駐車地点へと戻って行った。
(2001/12記)(2010/3改訂)(2021/12改訂2) |