阿舎利山は兵庫では数少ない千メートル峰として、そしてその独特の名前からしてずっと気になる山だったが、この山の知識と言えば平成以前は多田繁次氏の「兵庫の山やま」で見るだけだった。その情報と地形図を眺めて、阿舎利集落からの林道を歩くのが一番手っ取り早いと思えて、漸く向かったのは1993年12月の快晴の日だった。そのほぼ2ヶ月前に一山に登っており、阿舎利集落から始まる林道が波賀町との町境まで延びているのが分かっていたので、集落外れから林道を歩き始めた。今ではこの林道は国道29号までつながっているが、その当時の地図では中腹までしか書かれておらず、山頂までの破線路も見えなかった。町境尾根に着くと、間近で林道の延伸工事が行われていた。後は町境尾根を北へと伝って行くだけだった。この日は林道上で僅かに積雪が見られたが、尾根歩きをする頃には5センチほどになっていた。尾根には踏み跡程度の杣道が続いており、多少クマザサのヤブコギを強いられたが、さほど迷わず山頂に着けた。山頂は雑木に取り囲まれており、期待した展望は得られなかった。そこで手頃な木に登ってみると、北北西に何とか氷ノ山を見ることが出来た。
(2002/4記)(2007/11改訂)(2022/4写真改訂) |