初めての阿舎利山は1993年12月だったが、その後、波賀町北部の山を多くの登るに従い紅葉期の美しさを知ることになった。そこで展望の悪い阿舎利山にも紅葉を期待して向かったのは1997年11月の中旬のことだった。波賀町引原の旧引原小学校を起点として周回で登ることにした。車は旧引原小学校の近くにあった空き地に駐車する。登りは山頂より北西に真っ直ぐ延びている尾根を登って行くことにした。その尾根に出る道は無く、急傾斜の植林地を適当に登って行った。すぐに斜面を補修した箇所に出て、その補修地を登って尾根に出た。尾根は落葉樹に覆われており、緩やかに続いていた。木々は疎らで下生えも少なく歩き易かった。
もう紅葉の終わりかけになっており、ほとんど落葉した木も多く見られた。その落ち葉の散り敷いた尾根道は風情があってなかなか良い感じだった。点名・三久安に着いて登って来たコースを振り返ると、足下に音水湖が見えていた。長い尾根道だったが、良い感じのまま登れて山頂に着いた。見覚えのある山頂は、ほとんどの木々が落葉を終わっていた。その山頂からも樹間を通して音水湖が見えていた。やはり樹間を通してだったが、西に音水の山々が見えており、その後ろには三室山を主峰として千種町波賀町の町境尾根が見えていた。
その北に見えるのはは氷ノ山のようだった。北東側の三久安山や藤無山は割合はっきり見えていた。朝は晴れ間が広がって暖かかったが、山頂に着いたときは雲が増えており少し寒いと感じた。それでも例年に比べると随分暖かいと言えそうだった。下りは三久安山との境にある林道へと下りるべく、北へと向かった。最初は尾根を歩き、すぐに北に向かって適当に下って行った。一帯は緩やかでそして広やかになっており、そこに広がる落葉樹林が優しげな風景を見せていた。カエデの落ち葉が風に乱されることも無く散り敷いていたのが印象的だった。その先に植林帯があり、そこを抜けて林道に出た。持っていた地図が古いのか、もっと先で林道に出会うはずだったが、どうやら延伸されていたようだった。その林道で戻ったのだが、出来たばかりの林道は荒々しい景色となっていた。自然を痛めているとしか見えず、ちょっと悲しい気持ちにさせられた。
(2002/4記)(2008/12改訂)(2022/4写真改訂) |