二度目の大甲山と荒尾山は尾根続きなので、二つを周回コースで登ろうと向かったのは1999年の秋ことだった。南側と北側の両方でルートは考えられたが、北側からのルートを選んだ。まずは大甲山を目指した。国道29号線を波賀町野尻で離れて集落内の車道に入り、そのまま林道へと進んだ。そして林道が二手に分かれる手前の空き地に駐車とした。そこより南へと向かう林道を歩き出した。まず目指したのは694mの四等三角点ピーク(点名・飯見)で、大甲山山頂よりより北東へと延びる尾根の先に位置している。林道を途中まで歩き、三角点ピークに最短となる位置で林道を離れた。そして植林帯を南東方向に向かって直線的に登って行った。薄暗い植林帯は下生えも無くまた傾斜もさほどきつく無いため、尾根まで休憩も要らずに気楽に登れた。尾根に出ると尾根筋のみ雑木林になっており、周囲が明るくなった。すぐに三角点ピークに着いた。そこは雑木に囲まれて展望は無し。現在地がはっきりしたことで、後は尾根を南西に向かって大甲山山頂を目指すのみだった。尾根の傾斜は緩く、ゆったりと登って行けた。尾根の樹相は植林帯が現れたり自然林に替わったりとしたが、尾根歩きを煩わされることは無かった。共同アンテナの地点を過ぎると、尾根筋に露岩が多く見られるようになった。その先で赤松が多く現れる場所があり、もう大甲山山頂もずいぶん近くなったと思われ出したとき、尾根はほとんど平坦と言ってよい姿になって来た。自然林の広がる様はゆったりとした雰囲気で、なかなか風情があった。山頂が間近となるとやや急坂となり、植林帯と自然林の境を登って行くと、程なく大甲山山頂に達した。三角点周辺には木々は見られず、枯れたクマザサが疎らにあるだけだった。おかげで好展望が南に開けていた。左手遠くに見えるのは雪彦の山並みで、正面に黒尾山そして右手に日名倉山と、遮るものも無く見渡せた。南の空に目を向けると、遠く薄ぼんやりと見えるのは小豆島のようだった。快晴の下、この展望を十分に楽しんだ。まだ11時を回った時間だったため、昼休憩は荒尾山でとることにした。その荒尾山は大甲山から見えており、さほど離れていなかった。地図を見ても1kmも離れておらず、少し下って登り返すだけだった。実際歩き出してみると、大甲山までの道と同じく下生えも少なく歩き易かった。最後の坂がややきついと感じたぐらいで、ゆったりと歩いて来た感じで荒尾山山頂に着いた。そこから見る堂々とした植松山の姿が懐かしかった。周囲の山肌は一部の木々で紅葉が始まっていたが、おおかたはまだまだ青々としていた。その荒尾山山頂で昼食を済ませたが、その位置では植松山しか見えないので、以前の記憶で展望の良かった北西側に5分ほど歩いた地点にある小ピークに立ち寄ることにした。その小ピークに向かう途中で2頭のイノシシを見かけた。着いてみるとやはり素晴らしい展望が待っていた。北の氷ノ山から三久安山、一山そして生野高原までが一望だった。やはり高い山に登ったときは好展望が楽しめるのに越したことはないと思った。この展望を十分に楽しんだことで、後は下山だけだった。下山は荒尾山山頂より北東に真っ直ぐ延びる尾根を下ることにした。ここで尾根の確認を十分にせず、ちょっと失敗をしてしまった。地図をよく見ると北東への尾根の他にも北北東に向かう尾根があり、そちらを下ってしまった。予定していた尾根は傾斜もさほどきつくは無く尾根筋もはっきりしているはずだったが、下っている尾根は灌木が繁って進み難い上に、段々と傾斜がきつくなって来た。また尾根筋も不確かになって来た。そこで200mほど下った辺りで地図を見直して、漸く誤りに気付いた。ただその尾根を下っても方向としてはさほどの間違いでも無いので、そのまま下って行くことにした。尾根が不確かなため、どうしても谷筋に寄ってしまい、そうすると一段と急斜面となった。そこで少し登り直して谷を巻くことになる。そして尾根を求めてトラバースして再び下り出すと、また谷に寄ってしまった。この繰り返しでけっこう時間がかかることになった。最後に沢に下り着く辺りはどこも急斜面になっていたが、木にしがみついてなんとか下りることが出来た。その下り着いた沢には小径は見えなかったが、沢沿いを歩いて行くうちに程なく小径に出会え、その小径を歩いて林道に合流した所は駐車地点にごく近い位置だった。
(2002/1記)(2012/5改訂)(2022/1改訂2) |