宍粟市の北、旧一宮町と旧波賀町を分ける尾根には千メートル峰が並んでおり、東山から始まって一山、阿舎利山、三久安山、藤無山と続いているが、そこに並ぶ千メートル峰の最後に向かったのが三久安山だった。1994年5月のことだったが、登るに当たってどこからアプローチすべきかが分からず、多田繁次氏の「兵庫の山・総集編」を参考にしようと読んでみたが、今一つよく分からなかった。結局は自分で決めるしかなく、地形図をじっくり眺めて決めたのが、北西麓となる波賀町鹿伏集落からの破線路でアプローチするルートだった。
向かったのは5月7日の五月晴れの日だった。波賀町の空は澄み切っていた。車は鹿伏集落から始まる林道を進んで標高570mにある高倉神社の前に駐車とした。林道はまだ続いており、その林道を歩いて行くと標高700m辺りにある堰堤の前で林道は終わった。その後は平桑谷沿いの小径を登り、1073mピークを経て町境尾根に合流した。そこまで登ればもう山頂は近かった。山頂が近づくとクマザサのブッシュが深くなり、けっこうヤブコギを強いられた。しかしブッシュの中にブナが点在しており、そのブナが新緑の盛りで素晴らしい鮮やかさで緑が眺められた。そして歩き始めてから2時間少々で山頂に着いた。山頂は木々に囲まれて展望はほとんど無かったが、木々の隙間を通して一山から東山が眺められた。山頂はひたすら静かで、パートナーとのんびりと昼どきを過ごした。後は同じ道を辿って下山とした。なお山頂手前の尾根からは、北東に藤無山を、西に三室山から植松山にかけての尾根を眺めることが出来た。
(2001/11記)(2012/6改訂)(2020/8写真改訂) |