92年の登山は結果として少し期待外れを抱かされたため、なかなか再訪をする気にはならなかった。しかしコースを変えればまた違った印象になるかもしれないと、もう一度見直してみる気持ちになり、初登から7年後の1999年5月に、大屋町の若杉からの尾根を試みた。大屋町の若杉集落をバイパスする道が出来ており、その途中に「不動滝」の標識あった。その不動の滝からのアプローチを考えていたため、標識のそばの空き地に駐車する。まず不動滝までの遊歩道を歩いて滝見物をした。小ぶりながらも水量の多い滝だった。次に近くの斜面を登って、滝の上流に沿って走る林道に出た。この林道を暫く辿って行く。そして林道がヘアピンカーブになっている所で、西に延びる沢に入った。沢沿いには踏み跡程度の道が続いている。やがて堰堤に出ると荒れた林道に出会ったので、その林道を進んだ。間もなく林道が終わるとそばの尾根に取り付いて、
後は主尾根に出会うまでひたすらその尾根を登って行った。この尾根にはケモノ道程度の小径が所々現れるだけだったが、雑木帯であれ植林帯であれ下生えが少なかったため、けっこうスムーズに登って行けた。時に傾斜が急な所も現れたが、木に掴まりながらもひたすら主尾根を目指した。主尾根に近づくと雑木は減ってササが尾根を覆い出した。ただササはネザサと言えるほどの丈の低いもので、煩わしさは無かった。主尾根に出て登山コースに合流すると、前回登った時とは違って尾根に密生していたクマザサは刈られて、けっこう歩き易い登山道に変わっていた。合流点から山頂までの高低差は少ないので、後はハイキングの気分で山頂を目指す。着いた山頂は以前と変わっておらずクマザサに囲まれて展望は悪かった。ただ三角点の周りのみは刈り払われていた。そこで休憩は前回同様に、少し戻って北の展望が開けた所でとることにした。北西に大きく見える氷ノ山にはまだ雪が僅かに残っていた。その右手からは鉢伏山、妙見山、床尾山、御祓山と続き、更に須留ヶ峰までも眺められた。須留ヶ峰
の右手遠くには千ヶ峰の尾根も見えている。伸びやかさのある良い眺めだった。下山は山頂より北東へ延びる尾根 を下って、林道の上部に出るルートをとることにした。クマザサの煩わしい尾根を想定していたのだが、雑木は疎らでけっこう歩き易い尾根だった。展望もまずまずあり、のんびりと下って行けた。古い防鹿ネットが残る地点を過
ぎると、意外と早く林道に出た。後は林道を歩くのみだったが、途中にワラビの繁る所があり、少々ワラビ摘みを楽しんだ。林道を終点まで歩くと、駐車地点とは僅かな距離だった。
(2002/1記)(2010/6改訂) |