1994年4月に青ヶ丸に登ったが、そうなれば次は仏ノ尾に登ってみたくなるもの。翌1995年は3月半ばに氷ノ山を訪れた。この時は避難小屋に1泊したが、翌朝に見た青ヶ丸と仏ノ尾は、快晴の空の下にくっきりと白い姿を見せており、そのシーズン中に是非訪れてみようと考えた。すると翌週も快晴が期待されたため、そこで2週続けての冬山となるが、仏ノ尾を目指すことにした。3月26日のことで、兵庫南部は晴れていたが、北部は曇り空となって少し雲行きが心配された。前年の青ヶ丸に登ったときと同じく、美方町佐坊の林道・仏ノ尾線の入口に駐車して歩き始めた。林道はスタートして200mほどは除雪されていたが、それより先は1メートルほど残雪が積もっていた。そのためワカンを付けての歩行となった。曇天だった空は徐々に晴れ始め、青空が広がって来たのはうれしいことだった。林道終点からはその北側の尾根を目指して、雪の山肌を急登した。尾根上に出ると、そこより山頂が望め、この尾根を辿って行けば山頂に続いているのが分かり、安心して進むことにした。昨日にでも降ったのか、多い所で20センチほども新雪が積もっていた。辺りは冠雪したブナが多くあり、青空をバックにその姿は美しかった。山頂を目指して登って行くが、見た目以上に傾斜がきつく、また雪も深く、多い所では3メートル以上は有ると思えた。ワカン歩行であえぎあえぎ登り、林道終点より2時間半かかって山頂に着いた。山頂は大量の雪で平らになっており、どこが最高点か分かり難くなっていた。その山頂には少なからずブナが有ったが、視界の妨げになるほどでは無く、展望は素晴らしかった。青ヶ丸山頂の展望も素晴らしかったが、それ以上と言える好展望が広がっていた。但馬の高峰を総て眺められると言ってもよいほどだった。空も雲が多いながらも、もう晴れと言ってよく、また風もほとんど無く、陽に当たっていると本当に暖かかった。やはり雪山は好いものだと心から思った。下山は往路と同じコースを戻ったのだが、下りるとなれば雪道は楽なもので、それと終始左手の蘇武岳から右手の氷ノ山までを、あまねく見渡せて、大展望を満喫しながらの下りとなった。仏ノ尾を登り終えての感想は、青ヶ丸に劣らず、いやこの仏ノ尾の方がずっと登り易く、また風景に伸びやかさもあったので、兵庫県の冬山として十分に楽しめる山だと確信させられた。
(2001/12記)(2015/1改訂)(2021/12改訂2) |