TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編 
 
天児屋山    1244.6m
 てんごやさん No.3
天児屋1199mピーク 1199m
  No.1
1/2.5万地図 : 西河内 若桜町(鳥取県)
宍粟市
 
【2002年3月】 2002-19(TAJI&HM)
 
    《天児屋山》 1199mピークより 2002 / 3 《1199mP》 1081mピークより  2002 / 3

 なだらかな山容の天児屋山。それが実はネマガリダケに覆われて何とも手厳しい山だったと、1995年、1996年の登山で身にしみて分かったが、残雪期ならまた違った面を見せるのではと思えた。また残雪期なら素晴らしい展望も楽しめるのではとも思え、新たな期待を持って機会を窺っていた。それを漸く実行したのは6年後の2002年3月のことだった。登山ルートは東の大通峠からの尾根ルートで計画した。このルートには天児屋山までにもう一つ目立つピークがあって、それは1199mピークだったが、地図では天児屋山と同じく無名ながら遠くから見ると天児屋山と1199mピークはセットになって風景を作っており、三室山の西側でけっこう存在感を持っていた。
 大通峠までの雪の状態は分からなかったが、その大通峠へと通じる林道・大通中江線を行けるところまで車を走らせて、車の進めなくなった位置から歩くことにした。最悪は三室山の登山口近くから歩くことも想定していたが、この年は暖冬のおかげで林道にははとんど雪は見られず、どんどん車を進められた。そして雪が現れても進めるだけ進むと、大通峠まで1kmほどと思える所まで行けてしまった。その先も無理をすれば行けそうだったが、峠までは僅かな距離なので、車はそこまでとして路肩に駐車した。ワカンの準備はしていたが、尾根の雪は少ないと見てスパッツのみを着けて歩き始めた。大通峠に着くとすっかり雪は解けていたが、そこから始まる県境尾根は雪で始まっていた。残雪期とあって雪は締まっており、あまり潜ることも無く歩け出したのは楽だった。ただササにかかる雪の少ない所では、逆に膝まで潜ることがあり、そうすんなりとは歩いて行けなかった。程なく1081mピークに着いた。そこはさほど展望は良いとは言えず、樹間からクラマスが覗ける程度だった。そこより1199mピークとの鞍部へと下って行く。辺りはネマガリダケが現れており、少し足の妨げになった。また登り返しでは雪が少ないのかけっこう潜ることになった。そこでは苦労することになったが、すんなり歩ける所の方が多く、大通峠から15分ほどで1199mピークに着いた。むしろ楽に登れて来たと言うべきであろう。その1199mピークは実際は二つのピークからなっており、最初に着いた西のピークは少し低く、そこからの展望はあまり良くなく、木に登って漸く三室山から植松山への展望を得た。その後に着いた西のピークが標高点のあるピークで、そちらは西の方向に展望があり、間近に天児屋山が見えていた。またダルガ峰から長義山へと続く尾根も眺められた。そのけっこう伸びやかさのある眺めにいっとき目を楽しませた後、天児屋山へと尾根歩きの続きに入った。まず天児屋山との鞍部へ下るが、始めはなだらかになっており、辺りの雪面には灌木が疎らに覗くだけで、展望の中を歩くことになった。右手にくらますが形良く見えていた。雪の下は笹原とあって、ときおり雪を踏み抜いて足を取られもした。そうならないように良く締まった雪面を選んで下って行った。鞍部に着くと、そこはまだまだ雪の量が多く、しっかりと歩けた。その先はと見ると、天児屋山の山頂こそ白くなっていたが、登り返しの辺りからはネマガリダケが現れており、しかも密生しているのが分かった。そこで出来るだけ雪面の残っているところを選びながら登ったところ、少し左手に逸れてしまった。そこでも雪が消えてネマガリダケに突っ込みそうになって、まだ雪の残っている所はと探し、今度は右手の植林帯に回り込んだ。しかしそこもすぐに雪が切れてしまった。もうネマガリダケに突っ込むしかなくなり、そこで山頂方向に見える雪面を目指して闇雲にネマガリダケを突き進んだ。そして数十メートルのヤブコギで何とか抜け出すことが出来た。その先は雪面が広がるだけとなって一安心だった。雪の少ない所では潜らないよう注意しながら、最後の雪面登りにかかった。陽射しが強く、雪面からの照り返しもあって、初夏ではと思えるほどの暑さに感じた。それでも一帯に見えるのは雪面のみで、広々とした展望の中を登って行くのは気持ちの良いものだった。さほど時間もかからず山頂に着いた。そこも雪面になっており、ちらほら灌木が覗くのみ。三角点も雪の下とあってはっきりと山頂の位置をつかめなかったが、おおよそ山頂と思える位置で休憩とした。その山頂からは素晴らしい展望が開けていると考えていたが、山頂こそ雪面になっていたが、周辺にはネマガリダケや灌木がけっこう現れており、その分だけ展望は悪かった。少し西へと歩いてみたが、やはりネマガリダケが視界を妨げていた。もう少し雪が多くないとすっきりとした展望は得られないようだった。そこで例のごとく手頃な木に登ってみることにした。そして得たのが下の写真の通りの360度の展望だった。ただ惜しむらくは視界がややモヤががっていたことだったが、そう贅沢は言っていられないと満足することにした。昼食後は暖かい陽射しに誘われたのか、パートナーは雪面にシートを敷いて昼寝をしてしまった。こちらは比較的雪の多い東の斜面で散策とする。そちらはすんなりとした展望があり、北にはくらますが近く、その右手には氷ノ山が覗いていた。東には大きく三室山が対峙しており、雪面歩きと共にその展望を楽しんでひとときを過ごした。下山は同じルートを戻ることにしたが、雪の斜面を歩ける所まで下って行ったため、最後に登りのときよりも手強いネマガリダケの密集地に突っ込んでしまった。そこは急斜面でもあって突き抜ける苦労もひときわ厳しいものだった。ネマガリダケの下を潜り込んだり、ネマガリダケの上をすべったりころんだりと、とにかく格闘しながら下って、何とか抜け出たときは1199mピークとの鞍部に近い所だった。近くに植林地が見えており、この植林地に早く来ておればと思ったが、後の祭りだった。その先は来るときに付けたトレースを辿れば良いだけなので楽だった。気楽に写真を撮りながら、と言っても足はかなり重くなっていたが、往路コースを忠実に辿って戻って行った。
(2002/3記)(2008/11改訂)(2021/2写真改訂)
<登山日> 2002年3月16日 9:51スタート/10:04大通峠/10:11 [1081m]ピーク/11:20〜27[1199m]ピーク/12:32〜14:28天児屋山/15 :12[1199m]ピーク/16:05[1081m]ピーク/16:13大通峠/ 16:30エンド。
(天気) 朝のうちは空全体が薄曇りで、北の山並みにはガスがかかっていた。その後は天気は徐々に回復して、薄晴れに変わってきた。北の空のガスも消えてきた。昼を回るとすっかり青空が広がった。但しやや薄モヤがかっていた。気温はまさに春の陽気で、15℃近くまで上がっていた。風はほとんど無く、ときおり冷たさの混じる微風がほてった体に快かった。視界はその後もモヤがかったままで、すっきりとはならなかった。
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1081mピークに着いて1199mピークを見る 1199mピークが近づいたとき北にくらますを見た 1199mピークの東端より三室山を望む

(←)
1199mピークよ
り南の方向を見る

   (←)
    西には間近に天児
    屋山が迫っていた

1199mピーク
より南西の方向を
見る
      

左の写真に写る長
義山を大きく見る
1199mピークを離れて天児屋山へと近づいて行く くらますをはっきり見た 天児屋山の山頂が近づくも尾根の雪は多くは無かった
天児屋山の山頂に着いて、南から西、北西の方向を見る
上の写真に写る沖ノ山を大きく見る 上の写真に写る東山を大きく見る 後山と船木山の並ぶ姿を見る
天児屋山の山頂より北から東、南東の方向を見る

(←)
上の写真に写る三
室山を大きく見る

 (→)
  氷ノ山の右手に赤
  谷山を見る

下山に移って、前
方に1199mピ
ークを見る

1199mピーク
に戻ってきたとき
北の方向を見る

(←)
1199mピー
クのそばより三
室山から南に延
びる尾根を見る

  (→)
  植松山を大きく
  見る