TAJIHM の 兵庫の山めぐり <奈良三重県境の山> 
 
高見山    たかみやま 1248.4m 東吉野村(奈良県)
松阪市(三重県)
 
1/2.5万地図 : 高見山
 
【1998年3月】 1998-17(TAJI&HM)
 
   迷岳より  2008 / 1

 高見山と言えば、冬の霧氷風景で知られた名山だが、いつも霧氷風景が見られるとは思えないので、1998年3月に計画した奈良県の宇陀郡方面の小登山旅行は、曽爾村の古光山から倶留尊山への登山をメインに計画した。そしてその翌日を高見山へと考えたが、霧氷についてはほとんど期待していなかった。
 前日は計画通り倶留尊山登山を終え、その夜は県境を越えて三重県飯高町の「グリーンライフ山林舎」で一泊した。そして翌日はいよいよ高見山である。朝方は薄雲が広がっていたが、徐々に晴れる兆しも見えていた。国道166号線で奈良県に入り、東吉野村杉谷のバス停そばに駐車した。国道から見えた高見山は山頂付近が白くなっており、霧氷がどうやら出来ているように思われた。その霧氷を楽しみに歩き始めた。小峠までの山道は旧伊勢南街道と呼ばれるもので、杉林に囲まれており古い街道の面影が残っていた。全体に緩やかで、石畳の箇所もあり淡々と登って行けた。つづら折れの箇所を過ぎると小峠に着いた。ここには杉谷からの林道が延びて来ており、この林道は更に大峠に向かっている。その林道を横切って、北に延びる山道を登って行く。傾斜がきつくなったが、辺りは雑木林となって山の落ち着きが感じられた。登るほどに枝に霜を付けた木立が現れた。道にも雪が見られるようになった。枝の霜は次第に霧氷へと替わって行く。下平野コースとの出合辺りでは、道はもうすっかり雪に覆われていた。ただ積雪は5cmもなく、歩くのには何ら問題はなかった。主尾根になってからは道も緩やかになり、木立はすっかり霧氷になっていた。その霧氷が枝から落下し出すのを恐れて、どうしても急ぎ足になってしまう。進む程に木立にはブナも増え、霧氷も見事になって本当に素晴らしい景色になって来た。その美しさに酔っているうちに避難小屋に着いた。そこから山頂までは今少し歩くのかと思っていたのだが、山頂はほんの鼻先で、あっけなく山頂に着いてしまった。 そこにはまだ誰も来ていなかったが、この時、大峠から3名の登山者が登って来るのが見えた。誰かと思えば前夜に泊まっていた「グリーンライフ山林舎」のご夫婦と従業員の女性だった。やはり霧氷に誘われて登って来たとのこと。まずは避難小屋の屋上にある展望台より360度の眺望を楽しむ。南は昨日登った倶留尊山を始め、鎧岳、兜岳の山並み、北は冠雪した国見山、北西遠くには大峰山系の大普賢岳も望まれた。視界は申し分なく澄んでおり、奈良中部の山並みがくっきりと一望だった。ただ冷え込みは厳しく、耳がちぎれそうな冷たさだった。そこで陽が当たっている避難小屋の南の日溜まりで小休憩としたが、そこは風も無く春のような暖かさだった。小休憩の後は、ゆっくりと霧氷の写真を撮ることにした。尾根沿いのブナを始めとする木立の樹高はさほど高さでは無かったが、ファインダーいっぱいに霧氷が広がってなかなか撮りづらかった。ただこの見事な霧氷も山頂付近だけのもので、すこし標高が下がるともう霧氷は見られなかった。その茶色い樹林帯とのコン トラストがかえって面白いかと思えた。徐々に撮影目的の登山者が増えて来た。昼が近づくと一気に気温も上がって来た。それと比例して霧氷の落下が瞬く間に始まった。その早さに少しあきれながら、これを潮時と思って下山することにした。登りでは白かった道も、すっかり雪解け道になっていた。風が吹くと霧氷が雪となって降って来た。下平野コース出合に着いた頃は、もう雪は見られなかった。後は霧氷風景の余韻に浸りながら下山を続けた。そしてふもとに着いてパートナーの登山靴を見ると、なぜか片方の靴底が無くなっていた。どうやら本人の気付かないうちに登山道で靴底を剥がしてしまったらしい。その靴底を探しに戻ることにした。パートナーを登山口に残して再び登山道を登ったのだが、見つけたのは小峠近くだった。霧氷のことを忘れてしまうとんだ一苦労になってしまった。
(2005/2記)(2018/2改訂)(2023/6写真改訂)
<登山日> 1998年3月23日 8:05杉谷登山口スタート/8:46小峠/9:00下平野コース出合/9:40〜12:30山頂/13:07下平野コース出合/13:21小峠/14:00エ ンド。
(天気) 朝方は薄雲が広がっていたが、徐々に晴れ出した。山頂に着いた頃はまだ雲が残って冷え冷えとしていたが、昼には快晴になった。視界は澄んでおり申し分無し。稜線は冷たい風があり、ときに強く吹くことがあったが、 その風も昼には暖かくなった。なお頂上避難小屋の南は日溜まりになっており、風も無く春のような暖かさだった。
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山頂から南を見る
と、明神岳一帯は
雪の世界だった

山頂より東の方向
に三峰山を見る

(←)
山頂から北の山並
みを眺める

 (→)
  左の写真の右手に
  は倶留尊岳も望め
  た

倶留尊山を大きく
見る

下山時に山頂近く
の尾根を見る

 高見山の霧氷