岡山市街から国道30号線を南下して玉野市に近づいたとき、右手前方に富士型の山が見えてくるが、それが常山で児島富士とも呼ばれているとか。ごく低残でもあるので半日のハイキングで十分ではと思い、その考えで向かったのは2015年4月第2週の土曜日のことだった。ブルーライン、岡山バイパスと走って常山に近づいた。この日は朝から曇り空だった。天気予報では午後に晴れ出すとのことだったので、昼前の空はまだ雲が多かった。それでも一部で青空が覗くようになっていた。その空の下で常山が端正な姿を見せていた。JR常山駅の前を過ぎて西へと車を走らせると、常山に向かう道が左手に分かれた。その車道に入ると今度は東へと向かうことになり、程なく登山口駐車場が現れた。車は2台止まっていたので、その並びに駐車とした。時計は12時を回っていた。その辺りは北に向かって開けていたので、近くのベンチに座って岡山平野を眺めながら昼食とした。昼食を済ませて、後は間近にある常山登山口に向かうのだが、近くにJR常山駅があることでもあり、JR常山駅をスタート地点として歩いてみたくなった。そこで200メートルほど離れている常山駅へと向かい、まずは常山駅に立った。常山駅は改札が無く、ホームだけの無人駅だった。そのホームではサクラが盛んに花びらを散らしていた。そのサクラ越しに常山を見上げてから、ハイキングを開始した。そのハイキングの様子は下の写真帳をご覧いただきたい。登山コースは林道で山頂に向かうコースと登山道で向かうコースがあり、往路は登山道コースを登った。登山道は雑木林や竹林の中をつづら道で続いていた。登るうちに陽射しを受けるようになった。底無井戸を過ぎると林道に合流した。その林道を歩き出すと、すぐに広場に出た。そこは常山城跡の栂尾二の丸跡で、その辺りからずっと城跡のようだった。そこからは林道を歩かず石段を登って山頂に向かった。次の平坦地は青木丸跡で、その後も何度か石段を登って山頂となる本丸跡に着いた。そこは一段と広く平坦地になっており、城跡らしいとは言えたが、樹木が多くあって林のようになっていたためか伸びやかさには欠けていた。サクラの木が多いようだったが、花びらをほぼ散らし終わろうとしていた。そこまで展望はほとんど無いまま来たのだが、本丸跡はまずまずの展望があった。東側と南側にベンチが置かれており、瀬戸の海や近くの尾根が眺められた。また立派な展望台が北寄りに建っていた。螺旋階段を登って最上階に立つと、北に向かって伸びやかな展望が広がっていた。うっすらとした視界ながらも岡山市街やその背後の山並みが眺められた。もた北東には金甲山が大きく見えていた。この展望が得られたことで、常山の山頂に立った甲斐があったと言えそうだった。山頂で暫し憩った後は、林道コースで下山とした。林道は北西側から西側、南側へとぐるりと螺旋状に付いており、陽当たりが良いためかミツバツツジが満開だった。その林道を南側まで歩いたとき、千人岩に立ち寄った。そこは常山合戦時に兵が千人いた所と案内板に書かれていたが、岩場は狭く、数十人でいっぱいになりそうだった。林道を東面側まで来ると、土砂災害によるものか林道は崩れて、単なる山道になっていた。道理で静かな常山だった。再び林道を歩くようになると、程なく墓地が現れ、その先が駐車場だった。
(2015/4記)(2020/8改訂) |