TAJIHM の 兵庫の山めぐり <鳥取県の山
 
陣鉢   じんぱちやま 1207m
若桜町(鳥取県)
桑ヶ山 1059.7m
  香美町・若桜町(鳥取県)
1/2.5万地図 : 若桜
 
【2002年4月】 2002-25(TAJI&HM)
 
    《陣鉢山》 舂米の氷ノ山スキー場より 2002 / 4 《桑ヶ山》 舂米の国道482号線より 2005 / 5

 氷ノ山の山頂より北西を見たとき、ごく近い位置にこの陣鉢山が端正な姿で佇んでいるのを目にすることが出来る。三角点の無い山だが、その鋭角的な姿にはみょうに登高意欲をかき立てるものがある。そこでどこから登るかと地図を眺めると、陣鉢山の東を間近に林道(因幡東林道)が通じているのが見えた。その林道を起点から歩き、後は尾根伝いに登れば意外と簡単に登れそうに思えた。それを実現したのは2002年4月下旬のこと。その日は淡い雲が広がり、青空も淡い色合いで、薄晴れと言える空だった。視界もややモヤがかっており、風景は薄ぼんや りとして見えていた。国道29号線を鳥取に入り、国道を離れて舂米川沿いに舂米集落に向かう車道を走ったが、その道も国道に昇格しており国道482号線になっていた。この道は舂米集落を抜けると新しく作られた道となって従来の林道に合流したが、その林道も国道になっており、拡幅されていた。ただ旧の林道部に少し入ったところで、道は通行禁止(融雪後の整備のため)になっていた。かまわず進んでいくと、その作業中の現場に出会い、も うそれ以上は進めなくなった。そこで近くに見えた通信用鉄塔(舂米基地局)の空き地に駐車とした。作業現場のそばを抜けて、舗装された国道482号線を歩き始める。因幡東林道の起点までどれくらいかかるかと思っていたところ、数分で着いてしまった。その林道の入口にはクサリが張られており、車は進入出来ないようになっていた。クサリの横を抜けて林道に入る。この林道は中国自然歩道にもなっており、車の通った形跡は少なかった。土道となって草が多く生えており、自然歩道として歩くのにはなるほど適していると思われた。この林道は鳥取と兵庫の県境尾根に沿って延々と続いているのだが、起点部に最も近いピークに三等三角点(点名・安場)を持つ桑ヶ山があった。林道との標高差は100mも無く、これも一つの山と考えると捨てがたいので、立ち寄ることにした。ピークに向かう小径は見当たらなかったが、登り易そうな山肌が見えたので、そこに取り付いた。緩やかなな斜面で一帯は植林地になっており、そこを適当に登って行くと、程なく急斜面になった。辺りは雑木林となり、倒木が多く見られた。そこを乗り切って尾根上に出ると、1060mピークはもう近かった。その辺りより周囲にクマザサが増えて来た。程なく着いたピークは、三角点周りこそクマザサが刈られていたが、周囲は雑木や植林が取り囲んでおり、展望は良くなかった。唯一、南西の方向に展望を得たものの、そちらには目立った山は見えなかった。展望を得ようと 周囲を適当に散策したが、木立の空いた所はどうも見当たらなかった。仕方なく手頃な木に登ることにした。そしてようやく東南の方向が開けた。そこに見えたのは赤倉山から氷ノ山、三ノ丸と続く尾根だった。モヤが強いため霞んで見えていたが、近いだけになかなか雄大な眺めだった。これでようやく満足して、この1060mピークを離れることにした。下山はピークより西へ延びる尾根を辿ることにした。すると下山を始めてすぐに、今度は北東方向に展望を得た。樹間を通してだったが、青ヶ丸と仏ノ尾の二つの奥深い山を眺めることが出来た。そのまま尾根を辿って林道に出ても良かったが、林道との標高差が僅かなので、南西方向に向かって急斜面を下ることにした。辺りは美しい佇まいの自然林が広がっており、その中を木を伝いながら一気に下ると、程なく林道に降り立った。そしてこの日の目的の陣鉢山に向かって林道歩きに戻った。再び林道歩きを続ける。道は緩いアップダウン程度なので、気楽なものだった。ただ前方に見える陣鉢山はまだまだ遠かった。所々でブナの巨木を見た。またちらほらと食べ頃のフキノトウを路傍に見かけるようになった。ほぼ中間点を過ぎた頃だろうか、林道の所々でがけ崩れが起きていた。ひどい所では林道にうずたかく積もっていた。歩いてこそ越せるが、これではバイクの通行も不可能と思えた。ただ崖崩れは一帯の樹木をなぎ倒しており、すっかり展望が良くなっていた。氷ノ山が堂々とした姿を見せていた。1時間ほど歩いてようやく陣鉢山が間近になってきた。その陣鉢山に一番近づく所まで林道を歩く。そこは陣鉢山から東に延びる尾根が林道に交わる地点で、地図から見てその東尾根からのルートが一番アプローチが簡単なように思えたものだった。だが取り付き地点からもうクマザサが茂っていた。最初からヤブコギである。ただ踏み跡程度の道はあって、クマザサをかき分けながら辿って行く。尾根の周囲はブナを始めとする自然林が茂り、展望は良くない。尾根はクマザサこそ茂っていたが、終始緩やかなまま続いて行く。道は所々でクマザサに埋没したが、 尾根を外さずに歩いているとまた現れた。クマザサに替わってネマガリダケの現れることもあったが、またクマザサに戻った。どうもこの尾根はクマザサとネマガリダケが混生しているようだった。またちらほらと白い花を見かけた。コブシかタムシバのようで、ちょうど満開の見頃で花の白さが際だっていた。やがて山頂手前のピークへの登りとなった。そこはさ ほどきつくは無かったが、そのピークを越して山頂への登りとなると、俄然急尾根に変わった。クマザサにしがみつきながら登って行く。ただ周囲はブナの純林帯と言えほど、ほとんどがブナの木と言ってよく、けっこう良い感じの風景だった。新緑の頃なら、その美しさはひとしおのことだろうと思われた。そこを登り詰めてようやく山頂かと思ったが、そこより更に西に数十m進んだ所が山頂だった。但し陣鉢山には三角点が無い。山頂近くにクマザサが疎らになった所があったので、そちらで休憩とした。そこも周囲をブナと杉の大木が囲んでおり、展望は無かった。昼食後、展望を求めて北西の方向に少し歩いてみることにした。するとまだ雪が残った所があり、その雪がネマガリダケを押さえていた。おかげでそこのみ展望が良く、北から北東にかけてまずまずの展望が広がっていた。扇ノ山から青ヶ丸に続く尾根がモヤでやや霞んでいるものの、全姿を見せてくれた。仏ノ尾はこの陣鉢山からだと青ヶ丸に重なるのか、山頂のみ覗かせていた。この展望地にもタムシバの木があって、白い花がこの風景を際だたせていた。この景色を得て、まずは陣鉢山の山頂に満足した。下山は忠実に登って来たコースを辿った。尾根からの展望を注意していたが、木立を通して氷ノ山や鉢伏山が望める程度だった。ところで林道上には雪解けによる大きな水たまりが所々に出来ていたが、その幾つかには驚くほど大量のカエルの卵が産み付けられていた。
(2002/4記)(2013/9改訂)(2020/4改訂2)
<登山日> 2002年4月20日 10:37 スタート/10:43桑ガタワ/11:03〜33桑ヶ山/11:41林道に合流する/12:34陣鉢山取り付き地点/13:32〜14:33陣鉢山山頂/15:38林道に戻る/16:55舂米基地局エンド。
(天気) 淡い雲が広がり青空も淡い色合いで、薄晴れと言える空だった。視界もややモヤがかった薄ぼんやりとした見え方で、特に南の方向は悪かった。その後、西の空より薄墨色の雲が広がり出し、午後に入るとほぼ曇り空に変わった。気温は14,5度と低めだったが、登山には程良い感じだった。尾根ではやや冷たい風が吹いていたが、肌寒いという程ではなかった。
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桑ヶ山に着いたとき、そばの木に登って東を見
ると赤倉山が大きく迫っていた
氷ノ山を大きく見る 下山の尾根で北東方向を見ると、青ヶ丸と仏ノ
尾の並ぶ姿が眺められた

 林道に下りてきて、
 因幡東林道を歩いて
 行く 南に氷ノ山の
 尾根が雄大に眺めら
 れた
長い林道歩きを続けて、陣鉢山がようやく間近
になって来た
陣鉢山の山頂が近づくと、辺りにはブナの純林
が広がった
尾根から北の方向を見ると、扇ノ山と青ヶ丸の
並ぶ姿が眺められた
扇ノ山を大きく見る 青ヶ丸の背後に仏ノ尾がちらりと見えていた 山頂ではタムシバの花が満開だった
下山を始めたとき、木立を通して氷ノ山を見る クマザサの茂る尾根だった 木立の間から鉢伏山を見る