TAJIHM の 兵庫の山めぐり <鳥取県の山
 
くらます 1282.3m
 
高倉    たかくら 1137m
 
 
1/2.5万地図 : 岩屋堂/西河内 若桜町(鳥取県)
 
【2002年5月】No.2 2002-31(TAJI&HM)
 
    大通峠そばにある小ピークより  2002 / 3

 二度目のくらますも新緑に誘われて訪れた。この二度目のくらますは2002年5月5日のこと。国道29号線を北上して行くと、山崎町を過ぎた頃よりそれまでガスがかかったような曇り空が一気に晴れ出した。鳥取県へと入り、岩屋堂で国道を離れて吉川集落に向かう県道に入った。吉川集落を過ぎると県道は沖ノ山林道となって兵庫県境に向かって行くが、最初のヘアピンカーブでくらますへの作業道(支林道)が分かれる位置に、前回と同様に駐車した。そして作業道歩きでスタートした。季節がら路傍にときおり小ぶりなウドを見かけた。作業道が終点に近づくと、新緑で薄く煙ったように見える雑木林が視野いっぱいに見えて来た。くらますの山裾に着いたようだった。その雑木林の手前は幼木の植林地になっていた。作業道を終点まで歩くと、そこより植林地の中へと小径が始まっていたので、それを歩いて行くことにした。辺りには高い木が見られないため、明るさに満ちあふれていた。足下にはちらほらとワラビも見えていた。小径のままに登って行くと、小径はクマザサ帯が近づいた辺りで不確かになった。そこで左手に見えた尾根を登って行くことにした。その尾根に近づいて行くと、辺りに大ぶりの葉を広げたウバユリもちらほら見かけた。尾根に着くと、いよいよクマザサ帯の登りだった。密生するほどでもないので、適度な運動と言った感じで登って行けた。所々で疎らな所があり、そこでは一息ついた。そのクマザサが次第に密集し出した。尾根の傾斜もきつくなってクマザサにしがみつきながら登って行くことになった。山頂が近づき漸くクマザサ帯を抜けると、一帯は膝丈ほどの小笹に灌木が混じるだけの、のんびりとした風景へと変わった。展望も一気に開けた。その先に緩やかな斜面が見えていたため、その位置まで登って一息入れた。そして展望を楽しむことにした。西向かいの尾根の背後にあって高く頭を突き出しているのは、左が沖ノ山で右は東山(とうせん)と思われる。東山の麓には吉川の集落が小じんまりと見えていた。そこから山頂まではもう厳しい所は無いとあって気楽に歩き出したが、まだ標高差は100m以上残っていたため、今少し足を使って山稜に出た。そこから三角点まではごく僅かな距離だった。山頂に真っ直ぐ向かう尾根を登って来たことになる。道理で前回と比べて登っている時間が長く感じられたはずだった。山頂の展望も文句なし。先ほど小休止をとった展望地も良かったが、山頂は更に高い位置だけに、沖ノ山、東山が先ほど以上に良く見えていた。そしてその左手には後山から天児屋山の山並み、翻って東を見れば、赤谷山から波佐利山、三室山へと続く兵庫鳥取の県境尾根がくまなく見えていた。正に絶景だった。昼食のことは一時忘れて、この展望を大いに楽しんだ。そして涼しい風の吹く中、くらます山頂で一時間半ほどを過ごすことになった。その気持ちの良い山上をもっと楽しみたくなり、時間もあったので、くらますと尾根続きとなる南の高倉まで足を延ばそうと言う考えが浮かんだ。地図でみても距離も手頃で、さほど難しくは無さそうだった。ただ空の雲が増えて来ているのが心配だったが、その気持ちをすぐに消して高倉へと尾根を南の方向へと歩き出した。尾根には小径が続いており、灌木の小枝が少し煩わしい程度だった。しかし次の1144mピークとの鞍部へと下り出すと、小径は消えて俄然クマザサが繁り出した。1144mピークの方向を見定めて、その笹ヤブに突っ込んだ。このクマザサに途中からネマガリダケが混じり出して、更にやっかいだった。それが鞍部が近づき出すと、疎らなクマザサにブナの点在する優しげな風景に変わった。急にのんびりとした尾根歩きとなった。ブナ林が美しかった。ただそれもつかの間、鞍部からの登り返しになると、またクマザサがきつくなった。とにかくヤブコギして進むのみ。漸く1144mピークが近づくと、またクマザサは疎らになってきた。そして1144mピークでは、まずまずの展望を得た。三室山がくらます山頂で見たときよりも一段と大きく見えていた。この状況に一安心して目標の高倉へと向かった。すると今まで以上に厳しいネマガリダケのジャングルが待っていた。これは久々の厳しさだった。途中でたまらずネマガリダケ帯を避けて東の斜面に逃げた。するとネマガリダケを伐採した所に出た。どうやら植林を目指しての伐採地のようだった。切り株が煩わしかったが、ジャングルよりずっと楽だった。しかしこの伐採地もピークまで続いていなかった。後は仕方なくヤブコギを続け、なんとか高倉の山頂に着いた。そこは全くのネマガリダケのまっただ中で展望の欠片も無かった。せっかく来たのだから、是が非でも展望を得ようと、近くの木に登ってみた。そこで見えたのはガスの風景だった。昼どきまでの快晴の空は、高倉に向かい出す頃には雲が増え出していたのだが、もうガスまで広がり出しており、三室山の方向はすっかりガスで何も見えなかった。くらますが木々の隙間から見えていたが、これにもガスがかかり出していた。高倉はくらます山頂の雰囲気とはすっかり違った山頂だったので、これでは長居は無用と下山することにした。地図では南西方向に破線路が書かれていたので、その道を目指して尾根を下ることにした。全くのネマガリダケ帯なので、下り易い所を選んで下って行った。下りなので体全体をネマガリダケにぶつけるようにして下った。それでも途中から尾根を辿れなくなり、仕方なく足の向くままに下ると、急斜面地になってしまい、ずり落ちそうになったりした。このままどこまで続くのかと諦めそうになったとき、突然のように林道に下り着いた。しかも舗装路だった。この林道は地図の破線路かと思って歩き出してみると、高倉からくらますへの尾根に平行して続くものの、進めどもなかなか標高を下げなかった。少しいらだった頃、左手の山肌に小径を見た。この小径の方向が駐車地点のあるくらますの麓に近いと思え、今の林道を離れて小径を辿ることにした。しかし少し上りとなって小ピークに着いた辺りで、小径は消えてしまった。どうも判断を誤ったようである。そうなると方向を定めて下るしかない。一帯は全くの植林地だったが、下りきると小さな沢に出た。そして近くに土道ながら林道が始まっていた。地図で位置を想定すると、くらますを目指して最初に歩いた作業道(支林道)の一つ西にある支林道と思えた。それならその支林道は沖ノ山林道につながるはずで、そのまま駐車地点に向かえることになる。それに安心して林道を下って行くと、予想通りの道筋となり、無事に駐車地点に戻り着いた。もうくらますのことはずっと以前の感じになっており、ただ高倉一帯の自然のままだった姿のみが頭に焼き付いていた。
(2002/5記)(2010/5改訂)(2021/10改訂2)
<登山日> 2002年5月5日 9:58スタート/10:50クマザサ帯に入る/11:58〜13:20くらます/14:43[1143m]ピーク/15:30〜45高倉/16:25舗装林道出合/17:00土道林道出合/17:25エンド。
(天気) ほとんど雲の見られない快晴の空が広がっていた。くらます山頂に着くと気温は20℃以上になっていたが、湿度が低いので爽やかそのものだった。風が少し強く吹いていたが、その風も涼しさがあって快かった。視界はこの季節としては澄んでいると言えた。午後に入ると雲が徐々に増えて、高倉に向かい出した頃より周囲の高峰にガスがかかり出した。高倉に着いた頃にはちょうど「くらます」にもガスがかかり出していた。そし て下山を終えたときは、上空は曇り空に変わっており周囲の山稜はすっかりガスに閉ざされていた。
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作業道の終点位置より山麓の新緑を眺める 樹林帯を抜けると、東山が現れた 南に後山と船木山の並ぶ姿を見る
山頂が近づいて、丈の低い笹が辺り一面を覆っていた 西の尾根が一望だった
山頂に立つと、東から南の山並みが眺められるようになった
上の写真の赤谷山を大きく見る 波佐利山を中心に見る 三室山を大きく見る
i
 山頂に立って改めて
 沖ノ山と東山の並ぶ
 姿を見る

    沖ノ山の左手には那
    岐山が覗いていた
くらます山頂より、これから向かう南の方向を
見る
左の写真の天児屋山を今少し大きく見る 南へと歩き始めたとき、山頂を振り返った
くらますの尾根を南へと向かっていると、高倉が眺められるようになった 左の写真の高倉を大きく見る
くらますから次の1144mピークへの尾根で
は、歩き易い所もあった
尾根の途中よりくらますを振り返る 高倉の北隣にある1144mピークに立って高
倉を見る
1144mピークからは南東に三室山が大きく
見えていた
高倉へ向かうとき新緑のブナを見上げる 上空
にガス雲が広がろうとしていた
高倉山頂では木に登って北の方向を見た くら
ますにはガスがかかろうとしていた