この日は朝よりどんよりとした曇り空で、視界もモヤがかっており、登山としては不向きな天気だった。それでも雨が降っていないということで、以前から登りたかった野間岳に向かった。指宿自動車道を川辺ICで下りると、旧加世田市へと向かった。旧加世田市を通り旧大浦町に入ると、野間岳が端正な姿を現した。モヤで薄ぼんやりと見えていたが、ガスがかかっていなかったことを幸運と思うことにした。旧笠沙町に入ると野間岳の中腹へと延びている林道を進んだ。そして野間神社の手前にあった駐車スペースに車を止めた。
登山道は緩い坂で始まったが、ほぼコンクリートで整備されていた。そのコンクリート道が雨で濡れており、滑り易くなっていた。こちらでは一時的に雨があったようだった。第一展望台に来ると海の展望があった。そこを過ぎると傾斜がきつくなり、登山道も少し九州自然歩道の雰囲気が出てきた。周囲は濃い常緑樹林で、雰囲気は悪くなかった。頂上が近づくと傾斜は更に強くなったが、クサリの手摺りがあって無理なく登って行けた。山頂手前では岩場も現れたが、そこも手摺りがあって不安は無かった。むしろ少しハード感があって面白いと思えた。そして山頂部へ。一帯は平らになっており、その中央に一等三角点が置かれていた。その辺りは伐られたのか樹木は無かったものの、周囲は低木の常緑樹が囲んでおり展望は無かった。その三角点がある広場のような所から見て西の方向が一段高くなっており、そこは大きな岩が点在して、展望地になっていた。その岩場で休憩とした。そこはガイド本通りに、野間半島が眺められた。薄ぼんやりとした視界だったが、三日月形の野間半島の全姿が眺められて、ここまで来た甲斐があったと思えた。野間半島はガイド本の写真と違って、尾根には10基ほど風力発電の風車が建っていた。野間半島以外に展望はないかと大岩の上に立つと、手前の雑木が伐られていたおかげで、薩摩半島の小さな山が幾つも眺められた。ただモヤのきつい視界のために遠くは判然としていなかった。山頂で過ごしていると空が少し明るくなってきた。ただそれも一時のことで、段々と雲が黒くなってきた。その空を見て下山とする。滑らないように注意しながら野間神社へと下りて行った。下山を終えると、どうせここまで来たのだからと、野間半島の付け根に位置する野間池に立ち寄った。その野間池に着いた頃より小雨が降ってきた。その小雨に当たりながら、池の向こうに見える野間岳を暫し眺めていた。
(2003/1記)(2015/5改訂)(2024/9写真改訂) |