大隅半島の山と言えば甫与志岳が有名だが、いざ大隅半島の南部に行ってみると、甫与志岳の南には700〜900mの山並みが重畳としていた。その一つの根占富士とも呼ばれる辻岳を訪れたのは2002年12月の中旬のこと。急な思い付きで登ることになった。この日は垂水市に仕事で来たのだが、話の行き違いがあって仕事の出来る状態になっていなかった。そこで次の仕事先として根占町に来てみると、そこでも仕事が出来ないことが分かった。そうなると午後まで自由時間が出来てしまった。その根占町から優美な姿で眺められたのが辻岳だった。ガイド本の「分県登山ガイド・鹿児島県の山」を持っており、それを見ると短時間で登れそうだった。好天でもあり山頂で昼食をとることにした。
海岸部を離れて県道563号を走り大久保集落までは来たものの、根占林道への道が分からなかった。そこで里人に聞いて何とか林道に入ることが出来た。林道はきれいに舗装されており、スムーズに登って行けた。ただどんどん登って行くので、途中では登山口を通り過ぎたのではと心配になってきた。それも展望の開けた所が現れて、そこに広い駐車場と共にトイレもあるのを見た。漸く北登山口に着いたようだった。案内図があり山頂までは800mだった。また山頂までの道は九州自然歩道と分かった。少しはっきりしない登山道に入ると、すぐに舗装路に出会った。そこを横切った位置が本当の登山口だった。自然歩道らしい長閑な登山道が始まっていた。きつい坂は無く、周囲は鬱蒼とした照葉樹の森だった。また階段の道になっている所もあって、すっかりハイキングだった。どんどん登って行くともう山頂が近づいたのか樹林帯を抜け出した。そこまで来れば周囲が眺められるようになり、振り返ると錦江湾と対岸の開聞岳が見えていた。もう高い木は無く、枯れ草の広がる斜面を登りきって山頂に着いた。芝地が広がっており、ベンチも置かれて絶好の休憩地だった。僅かな時間で登れてしまったのをもったいなく思いながら昼休憩とした。山頂は好展望地だったが、大岩がありその上からは360度の展望地を楽しめることになった。青い海と青い空、そして対岸には開聞岳の優美な姿があり、まさに絵になる光景だった。それだけでなく北から東へと、更に南へと周囲はずらりと大隅半島南部の山々で、南に間近く見えていたのは野首嶽だった。展望だけで無く山頂の長閑な雰囲気を大いに楽しむと、下山は同じ道を戻った。前方に開聞岳と錦江湾を見ながらの下りは何とも贅沢な気分だった。足下には根占の町も見えていた。そして再び照葉樹林帯へと入った。往路はけっこう早足気味になっていたので、下山は森の雰囲気を楽しもうとゆっくりと下った。それでも呆気なく登山口に戻ってきた。是非とも山頂展望に見合うだけの長い登山道が欲しいと思ってしまった。
(2003/1記)(2025/2写真改訂) |