秋が深まってくると、天気の思わしくない日が多くなってきた。冷たい雨の日が増えてきた。イギリスでは夏時間、冬時間があり、10月29日は冬時間の始まり、この日から朝が1時間遅くなった。(昨日までの午前7時が午前6時となる。)この日は二度目のヨークシャー・デイルズへと、デイルズ南東に位置する池、「Grimwith Reservoir」の周辺をハイキングすることを計画した。リーズではまずまずの天気だったが、A65をデイルズへと進むほどに天気が悪くなり、しばしばシャワーが降って来た。ただときおり陽射しが現れることがあり、鮮やかな虹も現れた。特にスキップトンの町の近郊、「Chelker Reservoir」では暗い空をバックに見事な虹が現れ、車を止めて見ほれてしまった。その後、デイルズの地域に入ると雨が降り出した。止む気配は見えず、この日はドライブだけで諦めようかとの気分になって来た。予定していた「Grimwith Reservoir」の湖畔に着いてみると、池は寒々とした風景をしており、周囲の丘もなだらかすぎて、ぜひともハイキングをとの気分にはなれなかった。そこですぐに湖畔を離れて、休憩の意味もあって近くのグラッシングトン(Grassington)の町に立ち寄ってみた。すると町の駐車場には結構ハイカーが来ており、また天気も快復の兆しを見せてきたので、ここを起点に近くの丘をハイキングすることにした。駐車場のそばにあるインフォメーション・センターでハイキングコースのパンフレットを買い求め、それを参考に町の南東に位置する500mほどの丘に向かうことにした。まず隣り村のリントン(Linton)へと向かうのだが、駐車場を離れてワーフェ川(River Wharfe)にかかる橋を渡るとき、川水が増水しており、氾濫するのではと思えるほど激しい流れになっていた。デイルズに降った雨が、この川へと流れ込んでいるのであろう。リントン村からはフットパスが小川沿いにあり、そのフットパスで丘に向かうとあったので、フットパスを辿って行った。その頃にはけっこう青空も拡がっていた。道はフットパスと言うよりも牧草地を歩いているようなものだったので、泥でじゅくじゅくしたコースに靴が沈まないように慎重に歩いて行った。途中で何度か細流を渡ったが、この細流も増水しており、とうとう渡れないところがあり、諦めて近くの車道に出て、一度リントン村へと戻った。時間も遅くなったことでもあり、この日の目的地をリントン村に一番近い丘であるエルボルトン(Elbolton)に切りかえた。標高は348mとあり、気軽な高さである。リントン村を抜けて適当に歩いて行くと、その道はエルボルトンに向かう フットパスであることが示されており、安心して歩いて行った。途中、牧草地を横切ったりしたが、またフッ トパスにつながってくれた。ただ歩いているうちに、このフットパスは丘の中腹を巡るだけで、ピークに向かうようには見えないことがわかった。いわゆるウォーキング用のフットパスのようだった。そこで途中より牧柵を越して、牧草地を適当に登ることにした。するとやや強いシャワーが襲ってきたので、木陰に待避して、昼どきでもあり昼食を採ることにした。肌寒い天気のせいかガスボンベの火力が弱く、なかなか沸騰しない。とうとう煮え切らないままラーメンをすすってしまった。その後は、雨が止んだのを見て丘のピークへと向かった。登るほどにグラッシングトンの町を始めとして、伸びやかな、まさにイングランドだとばかりの素晴らしい丘の連なった風景が足元に広がった。ちょうど天気も快復しており、鮮やかな風景になっていた。ただまさにゲイルの風貌にふさわしい強い風が吹いており、吹き飛ばされそうであった。そのため長くはピークにおられず、すぐ下りることにした。下山は同じコースを戻らず、グラッシングトンの町に真っ直ぐ向かうフットパスを歩いて行ったが、途中B6160の車道に出たときに町へ向かう道を通り過ぎ、やや回り道をしてしまった。やはり冬が近づくと、天気の移り変わりが激しいようである。それでもイギリスのハイカーはこの厳しい天気を楽しむかのように、雨の中でも結構にこにこしていたのが印象的だった。
(2004/5記)(2014/8改訂)(2018/12写真改訂) |