二度目のノースヨーク・ムーアズを訪れるに当たり、今度は南部を目指すことにした。地図を見ると、海岸近くにスカボローという大きな街があり、その北西近くにブロクサ・フォレスト(Broxa Forest)と名付けられた森のエリアが目に付いた。ビュー・ポイントもあって、森の散策だけでなく、一帯の展望も楽しめそうに思えた。
M1ロードに向かうとき、またも北行きのジャンクションを見過ごし、南方向に走ってしまった。M62とのジャンクションまで走って、ようやく北に向きを変えた。45番インターを下りてからは、ひたすらA64を走ってスカボローを目指した。途中、水害のひどかったというヨーク近辺を通ったが、なるほど草地が水に浸かった所を多く見かけた。雲の多い空だったが、ときに陽が射して来た。東に向かうほどに雲は少なくなり、どうやら海岸線は快晴のようであった。スカボローの手前でA64を離れてA170に入り、ウェストエイトン(West
Ayton)村から目的のブロクサ・フォレストの森を目指そうとした。ところが、そこに向かう道が村外れの位置で通行止めになっていた。この道は諦めて他の道路を探ることにしたが、その前に気分転換でもとスカボローの街を訪れた。街は意外と大きかったが、駐車するほどの雰囲気は無かった。また海岸線にも寄ったが、風が強く肌寒いのみで、少時立ち止まっただけだった。改めて別の道でブロクサ・フォレストを目指して行った。A171を北に走って、Burniston村から田舎道へと入って行く。途中は快晴で、牧草地が明るく広がっていた。ブロクサ・フォレストは、北から向かうと高台の上に位置する。その高台に着くと、すぐに駐車場があり、そのそばがビュー・ポイントになっていた。しかし樹木が育っており、良く見えるとは言えなかった。それでも高台からの眺めなので、伸びやかに広がる牧草地帯の風景を目にすることが出来た。ブロクサ・フォレストのフットパスはと言うと、車も通れる幅広い道で、高台の縁に沿って東から西へと長々と続いていた。常に右手となる北の方向には伸びやかな風景が広がっていたが、雑木林が常に展望を妨げていた。左手は森が続く。道はひたすら真っ直ぐ続くが、全く平坦で起伏が無い。少々変化に乏しい道だった。歩くほどにときおり小雨が降って来た。また冷気のある強い風が絶えず吹き付けていた。1時間近く歩いた頃に車道は終わって、ようやくフットパスらしくなった。次のビュー・ポイントまで歩こうと考えていたが、このフットパスに入ってから、むしろ両側とも林となって展望は更に悪くなった。そのうちに、右手方向に深い谷を挟んで別の丘が現れた。暫く進むとまずまず開けた場所に出た。地図を見て、どうやらビュー・ポイントの地点を分からないまま通り過ぎたようである。そこでその開けた地点で昼食を採り、後は引き返すことにした。この時、やや強く雨が降り出し、食事を採るのに少々手間取ってしまった。程なく雨は止み、谷にきれいな虹がかかった。帰路は同じコースを戻ることにする。起伏の無いハイキングはどうも今一つ楽しめないとの思いで戻って行った。雨は降ったり止んだりだったが、駐車地点に戻ったときは、強い降りになっていた。この後は、海岸線に出て、ウイットビーの町を目指した。この海岸線近くを通るA171は、起伏に富んだヒースの丘の中を延々と延びており、けっこう野趣のある道路だった。ウイットビーの町は前回のノースヨーク・ムーアズ訪問時の帰路に道路よりちらっと見ただけだったが、良い印象を持っていた。そこで改めて訪れることにしたものである。港を囲んで立体的に町が出来ており、小ぎれいで適度な賑やかさがあり、感じのよい町だった。観光客の多い路地にはギフトショップも並び、町全体の雰囲気からして、いかにもイングランドの田舎町に来た印象を受けた。町中を通って町の背後にある古びた教会の前に立つと、町並みが一望出来、その俯瞰風景を楽しんだ。帰路は再びスカボローの街を通り、A64を走ってリーズへと戻って行った。
(2004/5記)(2010/11改訂)(2018/12写真改訂) |