クリスマスが近づくと行事が多くあり、12月の第3週はとうとうハイキングに行くことが出来なかった。そしてクリスマス休暇に入っても予定があって、始めのうちはハイキングの計画がなかなか立たなかった。ようやく落ち着いたのは27日。この日、朝起きると外は快晴だった。この空を見て急きょレイク・ディストリクト国立公園(湖水地方)に行くことに決めた。向かう先はピーターラビットのふる里であるニアソーリー(Near Sawrey)村である。ピーターラビットが何であるかも、ふる里がどこであるかも全く知らなかったのだが、ピターラビットが大好きという人よりグッズを頼まれていたため、ガイドブックを読んで、レイク・ディストリクトがふる里であることを知った。グッズならどこで買っても同じなのだが、いっそのことニアソーリー村を訪ね、そのついでに近くをハイキングするのも好いのではと考えていたものである。快晴の空はリーズ市を離れてからレイク・ディストリクトに着くまで続いていた。M6ロードは結構多くの車が走っており、この快晴に多くの人が出かけていることを窺わせた。アンブルサイド(Ambleside)の町からウィンダミア湖の西岸に廻り、道路を南下して行く。その道は狭い上に低い太陽の陽射しをまともに受けるため、時に対向車が見えず、運転が結構難しかった。外気温は−2℃と低く、路上の水たまりは総て凍っていた。 滑らないようにも注意を要した。いざニアソーリー村に入ると、この村は小さすぎて店もほとんど見あたらない。買い物はあきらめて引き返し、一つ手前のホークスヘッド(Hawkshead)の町に立ち寄ることにした。 時間はすでに11時を廻っていたが、こちらはギフトショップも多く、日本語でピーターラビットの認定店と書かれた看板も見かけた。一安心であるが、買い物は後にして、まずはハイキングをすることにした。この近くの丘がビューポイントになっていたので、さっそくそちらに向かった。真昼近くになっているのに、草地は霜で白くなっていた。マイナス気温と低い陽射しで、溶けないものと見られる。村中を通り、丘の裾を歩いて行くが、フットパスの入口がどうも見当たらない。やがて丘の方向に自転車も通れる道が分かれたので、それを登ることにした。順調に登っていたが、道は徐々に南に向かってビューポイントの丘の方向から離れ出した。そこで道を離れて、丘の斜面を適当に歩くことにした。牧草地はすっかり土が凍っており、ぬかるむことがないのでかえって歩き易かった。やや平坦地を越した所に石壁があり、 それを乗り越えるとフットパスに出会った。そしてそのフットパスから更にピーク方向に向かう小径が分かれたので、それを登った。低い丘なのですぐにピークに着いた。そのピークは Latterbarrow(245m)と呼ばれており、既に何人かのハイカーが着いていた。ピークには三角点を示す台座があり、その周辺は広々としていた。そしてビューポイントに値するだけの素晴らしい風景が広がっていた。空は雲一つ無い青空で澄み切っており、東を見ると足下にウィンダミア湖が南北に長く延びていた。湖岸にはアンブルサイドなどの村々が岸辺を飾っていた。その周辺の森も美しかった。村々の背後の山並みは雪をかぶって白くなっており、また北西から北に延びる山々の稜線もくっきりと鮮やかだった。そして西に点在するホークスヘッドを始めとする村落が、風景に溶け込んだ佇まいも素晴らしいものだった。暫しこの風景に目を楽しませた。ピークもマイナス気温だったが、十分な陽射しで、暖かくさえ感じられた。風景を楽しんだ後はピークの周辺を少々ぶらつき、後は西方向に下るフットパスで下山に向かった。下り着いた所は、登り始めた位置とほとんど違っていなかった。ホークスヘッドの町に戻った後は、ピーターラビットのグッズを求めて、何軒かのギフトショップを訪ねた。また村のそばの小さな丘にある教会に立ち寄り、その敷地から夕暮れの景色を楽しんだ。
(2004/7記)(2011/6改訂)(2019/7写真改訂) |